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2511-B-0350
配水管の地中埋設及び塀の基礎部分の越境は契約不適合責任に該当するか。

当社が媒介した土地売買の引渡し後、買主の自宅建築中に配水管の埋設及び塀の基礎部分の越境が判明。買主は、売主に対して契約不適合責任を追及すると言っている。なお、自宅の建築工事に支障はなく工期通りに進められ、完成した。

事実関係

 当社は、不動産の媒介業者である。個人間の土地売買の媒介をした。引渡し後、買主は自宅の建築を始めた。建築中にハウスメーカーが地中に配水管の埋設と塀の基礎部分の越境を発見した。配水管は敷地の境界付近で塀に沿って埋設されていた。自宅の建築工事には特段の支障もなく、配水管を撤去することもなく工事は進行し、予定通り、6か月後に建物が完成した。売主は、売却に当たり従前居住していた築古の住宅を解体したが、解体中に地中のガラが発見されたため、ガラを取り除き新たに土を入れ替えて整地した。売主は、その過程で配水管の存在は気づかず、また、塀は残すため塀付近の掘削はしなかったため、塀基礎の越境は思いもよらないことであった。当社が媒介業者として立ち会った売買契約の際に、売主は、物件状況報告書を交付したが、地中埋設物は発見していない旨、越境はない旨が記載されていた。契約締結時に売主は地中埋設物及び越境の認識はなかったと思われる。物件状況報告書の記載と説明によれば、地中埋設物は存在せず、越境もないことを売主・買主双方が合意した上で契約に至っている。しかし、買主は、売主が建物の解体工事をしており、ガラを発見したときにはガラを撤去した上整地をしており、配水管の埋設及び塀基礎の越境を認識していたはずであると推察している。買主は、埋設及び越境は売主の契約不適合責任に該当し、契約不適合責任に基づく修補に代わる損害賠償及び誤った物件状況報告書の説明義務に関する債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償をも請求すると言っている。
売主は、埋設及び越境の認識はなく、もし埋設、越境が不適合責任に該当するとしても約定した不適合責任の通知期間である3か月を経過しており、通知は建物完成後であるとして、責任を負うことはないと反論している。一方、買主は、売主が不適合を知っていたにもかかわらず告知しなかったのであるから、通知期間を過ぎたとしても責任を逃れるものでないと主張している。

質 問

土地売買において地中埋設物の存在や越境は契約不適合責任に該当するのか。

回 答

1.  結 論
  契約不適合責任は、引き渡された目的物が品質・性能に関し、契約目的に適合するか否かで判断されるため、状況によりケースバイケースである。
2.  理 由
 売買契約の目的物が種類、品質または数量に関して契約内容に適合しないことを契約不適合といい、不適合があった場合、買主は、売主に対して目的物の修補、代替物の引渡しまたは不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる(民法第562条第1項)。これを買主の追完請求権という。買主が売主に追完請求をしても、売主が履行の追完をしなかったり、追完が不能のときは、買主は、売主に対し、不適合の程度に応じて支払った代金の減額請求をしたり(同法第563条)、不適合が軽微でなければ契約を解除したりすることができる(同法第541条、同法第542条、同法第564条)。さらに、売主に不適合に関し責めがあるときは損害賠償を請求することができる(同法第415条、同法第564条)。追完請求、代金減額請求、契約解除及び損害賠償請求の一連の法律行為に応じて売主が負うべき責任を契約不適合責任と称している。
  契約不適合責任を追及するためには、買主は売主に対し、不適合である旨の通知が必要であり、通知期間は目的物の引渡し後、買主が不適合を知ったときから1年である。1年を超えると買主は、不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない(同法第566条)。通知期間は原則1年であるが、任意規定であり、当事者の合意により1年よりも長く、または短く設定することが可能であり(同法521条)、売主が契約不適合責任を負わない特約(免責特約)も有効である。個人間の取引では、通知期間を物件引渡しから3か月とすることが多い。なお、契約で特約期間を定めないときは原則の知ってから1年が適用になる。ただし、不動産売買において不動産業者が売主の場合は、引渡しから2年以上の通知期間を設けることが必要で、2年未満の期間を定めたときはその特約は無効となり(宅地建物取引業法第40条)、この場合の通知期間は、買主が不適合を知ったときから1年が適用になる。また、売主が事業者の場合は、消費者契約法が適用となり、相当の通知期間の設定が必要である(消費者契約法第8条第1項)。事業者が売主の場合の不適合責任における通知期間の明文の規定はないが、通常、1年と設定することが多い。特約の期間を短くしたときは、無効となり得ることに注意が必要である。
なお、売主が不適合を知っていて買主に告げなかった場合は、通知期間を過ぎても、また、売主の不適合責任を免責にしたとしても売主の責任は免れないので留意が必要である(民法第566条但書、同法第572条)。
  契約不適合責任は、従前の瑕疵担保責任と同様に売主に責任を求めるものであり、不適合責任は瑕疵担保責任を拡充したものと考えることができる。瑕疵担保責任は目的物の瑕疵(欠陥や不具合)の存在が「隠れた」瑕疵で買主の善意無過失の要件があった。不適合責任は、隠れた瑕疵の要件は要求されず、買主が知っていたとしても契約内容に適合しているか否かにより判断される。契約不適合責任では、買主が売主に要求できるのは、従来の損害賠償請求と契約解除に加え、「履行の追完」と「代金減額請求」が追加された(令和2年4月1日施行)。
  土地の売買において、買主が引渡し後、自宅建築中に発見した地中埋設物(配水管パイプ)及び塀の基礎の越境の存在に関し、売主の不適合責任の有無を争った裁判において、配水管について、「本件パイプの埋設が判明した後も自宅建築工事は進行して完成に至っており、本件パイプの埋設が自宅建築に大きな支障となったものとは認められない」、越境について、「越境の範囲も、本件土地と隣地との境界付近に限局されていたことがうかがわれ、現に越境によって具体的な支障が生じている事実が認められないことからしても、本件基礎の越境をもって本件契約に契約不適合があったということはできない」と売主の不適合責任に該当するとした買主の主張及び債務不履行(同法415条)又は不法行為(同法第709条)を否認したものがある(【参照判例】参照)。買主は自宅建築目的で土地を購入したものであり、パイプが発見されても自宅建築工事は行われており、越境に関しても、基礎の存在は境界付近であり、建築工事には支障がなかったと判断され売主の不適合責任を認めなかったものである。
  土地の売買においては、解体した旧建物のガラや建物基礎、旧給配水管等の地中埋設物が存在することがある。建物建築を目的とした土地売買では、買主の目的とする建物の建築ができないなど工事に支障をきたす場合がある。支障があった場合、買主は、売主に対し、地中埋設物の撤去を要求(追完請求)でき、売主が追完しない場合、他の要求ができる。

参照条文

民法第415条(債務不履行による損害賠償)
   ① 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに期することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
② 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。
一 債務の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。
 同法第521条(契約の締結及び内容の自由)
   ① 何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。

② 契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。
 同法第541条(催告による解除)
  当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。

 同法第542条(催告によらない解除))
  ① 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。

一 債務の全部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。
② (略)
 同法第562条(買主の追完請求権)
  ① 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。

② (略)
 同法第563条(買主の代金減額請求権)
  ① 前条第1項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。

②~③ (略) 
同法第564条(買主の損害賠償請求及び解除権の行使)
  ① 前二条の規定は、第415条の規定による損害賠償の請求並びに541条及び第642条の規定による解除権の行使を妨げない。
 同法第566条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
  ① (略)

① 売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。
同法第572条(担保責任を負わない旨の特約)
  ① 売主は、第562条第1項本文又は第565条に規定する場合における担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。
同法第709条(不法行為による損害賠償)
  ① 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
宅地建物取引業法第40条(担保責任についての特約の制限)
  ① 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法第565条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
② 前項の規定に反する特約は、無効とする。
消費者契約法第8条(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)
  ① 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。
一 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
 二~四 (略)
②・③ (略)
消費者契約法第8条の2(消費者の解除権を放棄させる条項等の無効)
  事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させ、又は当該事業者にその解除権の有無を決定する権限を付与する消費者契約の条項は、無効とする。

参照判例①

 東京地裁令和5年11月6日 ウエストロー・ジャパン(要旨)
  本件土地が宅地として売買されたものであり、本件契約の締結に際して地中埋設物が存在しない旨の売主の認識が示され、本件契約の前にされた建物撤去工事に際し、地中より発見されたガラが撤去され、新たに土が入れられた旨の説明がされたことからすれば、本件契約において、建物撤去工事の際に掘削された部分について、少なくとも本件土地上に建物を建築するのに支障となる埋設物が存在しないことが本件土地の品質として合意されていたと認めることができる。もっとも、地中埋設物がない旨の説明は売主の認識を示したにとどまり、建物撤去工事に際してガラを撤去した旨の説明も、あくまで建物撤去工事の際に掘削した範囲にとどまるものであり、本件土地全体について地中埋設物がないことまで確認したことを説明したものではないから、本件土地全体におよそ地中埋設物が存在しないことが本件契約の内容であったということはできない。
また、本件パイプが本件土地の北側境界付近の本件塀に沿って埋設されていたことからすれば、建物解体工事に際し、本件パイプの埋設箇所が当然に掘削されるべきであったということはできないし、本件パイプが本件契約前に解体された建物に接続していたことを認めるべき証拠もないことからすれば、本件パイプが建物解体工事の際に当然に発見されて撤去されるべきであったともいえない。そして、本件パイプの埋設が判明した後も自宅建築工事は進行して完成に至っており、本件パイプの埋設が自宅建築に大きな支障となったものとは認められない。
以上に照らせば、本件パイプが、本件土地上に建物を建築するのに支障となる埋設物であったと認めることはできず、本件土地の品質に関する契約不適合があったとはいえない。
これに対し、買主は、本件土地のチラシに「整形地・更地」との記載がされていることから、本件土地の品質として、本件パイプが埋設されていないことが合意されていた旨主張する。しかしながら、「更地」とは土地上に建築物がない状態を、「整形地」とはその敷地が整形された土地を指すものと一般に考えられるのであって、それらの記載をもって、本件契約において、本件土地の品質に関し、前記認定の合意内容を超える合意がされていたということはできない。
また、買主は、本件パイプの埋設が自宅建物の安全性に影響を与えている旨主張しているが、その影響を認めるに足りる証拠はない。
次に、本件基礎の越境についても、本件契約締結の際の越境がない旨の売主の説明は、あくまでも売主の認識を示したものにとどまり、地中における基礎の越境がないことまでが本件土地の品質として合意されていたということはできず、また、越境の範囲も、本件土地と隣地との境界付近に限局されていたことがうかがわれ、現に越境によって具体的な支障が生じている事実が認められないことからしても、本件基礎の越境をもって本件契約に契約不適合があったということはできない。
買主は、本件土地のチラシの記載等を指摘して、売主に、本件土地を売却するに当たってはその全体にわたって掘削工事をするなどして地中埋設物等の有無について調査すべきであった旨主張する。しかし、本件土地のチラシに記載された「更地」「整形地」が指す意味については前述したとおりであって、それらの記載によって本件土地がその全体を掘削し、地中埋設物等の有無について調査を経た土地であることを示すものとはいえないし、その他、本件契約の内容に照らしても、前記のような調査義務が売主にあったとは認められない。

監修者のコメント

現行民法の契約不適合責任では、不適合が「軽微」でなければ契約を解除できるとされ(民法第541条、第564条)、旧民法の「契約の目的の不達成」との要件は削除された。しかし、不適合が軽微か否かを判断する最も重要な要素は、結局は、買主が「契約の目的」を達成できるか否かである。
さらに、裁判所は、そもそも物件の問題点が「契約不適合に該当するか否か」の判断においても、買主の「契約の目的」に支障があるか否かを重要な判断要素としている。上記参考判例が、地中埋設物があっても、それが自宅建築という買主の「契約の目的」に支障がなければ、契約不適合に該当しないと判断したのは、その表れである。
一見欠陥らしきものがあっても、売主が負うべき契約不適合責任の有無や、その責任の種類・内容は、買主の「契約の目的」に支障があるか否か、支障があるならばそれはどの程度かによって、事案ごとに判断されることに留意する必要がある。

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