2025年06月03日公開
住宅のリノベーションが一般化し、かつては壊さざるを得ない劣悪な内装を伴っていた中古住宅も、今では所有者による改装が施され二次、三次流通が主流となっている。その結果、中古取得者にとってフルスケルトンから始める改装が合理的ではない状況が増えてきた。そのため、これまでのフルスケルトンから一新されていくリノベーションに対し、既存の間取りや仕上げを極力壊さず、活かすことを前提に、部分的に二次的に⼿を加えていくことで空間を再構築することを試みたいと考えた。本案件では、既存内装の「ReMAKE」をテーマに、解体ではなく二次加工に手間をかけることで生まれてくる新しいアイデアやデザイン、手法やプロダクトに期待しつつ既存に向き合っていった。例えば、まだ使える状態にあったI 型のシステムキッチンは一度半分に切断し、間を左官で繋ぐように造作しながらL型キッチンに再編した。同様にフローリングの表⾯塗装による意匠変更、壁の部分開⼝による視界拡張と動線変更、建具や天井材の転⽤など、分解して初めて発覚する既存の状態に、職⼈たちのノウハウが⽣かされ、様々な手法が試されていった。今回は自ら事業主となることでこれまで以上に踏み込んだ実験を行うことができたが、その結果得たノウハウはウェブで一般に公開し、経済性と意匠性を兼ね備えた再現性のある技術を広く普及させることで、住宅ストックの面的な解決に寄与できればと考えている。
名 称 | : | studyroom#1 |
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所 在 | : | 東京都豊島区 |
築 年 月 | : | 1967年2月 |
構 造 | : | 鉄筋コンクリート造 |
リノベーション面積 | : | 57.30m2 |
施工期間 | : | 3ヶ月 |
設計施工 | : | 株式会社TOOLBOX |
資料提供:株式会社TOOLBOX | ||
after写真:中村晃 | ||
「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2024」総合グランプリ受賞作品(株式会社TOOLBOX) |