ground work(2019年7月号)
施主様は物件購入後3年間生活され、日々の過ごし方がわかってきたのでリノベーションを考え始めご相談にいらっしゃいました。
趣味の一つが絵を描くことであるお客様でした。金額をなるべく抑えたいということもあり、将来理想の住まいにできる「下地づくり」となる空間づくりを目指し「groundwork」というコンセプトをたてました。
「groundwork」には、目標達成などのための基礎や土台作りという意味があり、絵画では「下地づくり」を意味します。
施主様の好みが真新しさより経年を感じる雰囲気でしたので、壁と天井は壊したままの躯体現しとし、ワンポイントでブルー系のビンテージタイルをはり、締まった空間としました。床には使用済み足場板を敷き、ビンテージ感のある落ち着く雰囲気としました。金額を抑えながらも、施主様の好み空間にまとめることができました。
表層のものは今後生活していく中での気づきを追加工事やDIYにより反映可能ですが、給水等通常隠してしまう設備は、リノベーション工事のタイミングではない限り更新が難しいので、施主様に大切な「下地づくり」であることを説明し、工事させていただきました。
住宅の基本性能を整えることは、日常生活がより豊かになる気づきが生まれることに繋がると考えます。その気づきにより住宅や日常生活の改善ができるように、あえて余白を残すこともリノベーションの方法の1つだと感じました。
工事期間中のある日にゲリラ豪雨が降った際、サッシまわりを中心に雨漏りが発生し、その修繕工事も行いました。これはリノベーションのために壁を壊さなければ気が付かなかったことで、築年数が大きい物件ほど表層だけではなく住宅の基本性能も含めたリノベーションを行う意義を感じる出来事でした。