Step to コンサル!

2021年07月15日公開  解答時間:10分目安

Step to コンサル 上級編

設問1

分野:不動産コンサルティングとは
内容:業務概要

公認 不動産コンサルティングマスターと関連制度に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

(1)公認 不動産コンサルティングマスターは、不動産が証券化される過程で、対象となる実物不動産のコンサルティングや投資相談を業として受託することだけでなく、証券化された後の有価証券についてのコンサルティングや投資相談も行うことができる。

(2)公認 不動産コンサルティングマスターは、不動産特定共同事業法に定める業務管理者の人的要件の一つと規定されており、また、国土交通省が定める不動産投資顧問業登録規程運用通達において登録申請者等の知識要件の一つに認められているなど、法令等とも関連付けがなされている。

(3)空き家対策を含めた不動産ストックの再生、地方創生に資する事業の活性化等を背  景に、平成29年に「不動産特定共同事業法」が改正され、小規模不動産特定共同事業の創設や規制の見直し・緩和などにより、公認 不動産コンサルティングマスターの活躍の場面が広がることが期待されている。

(4)宅地建物を特定せずに、宅地建物取引業者が取引の一任を受けて代理や媒介を行う「取引一任代理等」の業務が宅地建物取引業法に規定されているが、同法との関係において、公認 不動産コンサルティングマスターは、重要な使用人のうちに必要とされる要件を有する者として認められている。




設問2

分野:事業・実務(1)
内容:所要資金の調達

土地有効利用における所要資金の調達に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

(1)個人が等価交換方式により建築資金を借入金に頼らず、所有地の一部を売却してその代金を事業化により取得する建物の購入資金に充当する場合は、借入金の返済負担がないうえ、一定の要件を満たせば譲渡税の繰り延べができるため、等価交換は有効な資金調達方法のひとつといえる。

(2)所要資金の調達方法には、手元資金、所有不動産の一部売却による資金化、および等価交換などの自己調達によるものと、敷金・保証金や借入金など外部からの調達によるものがあるが、事業収支やリスクを検証しながら、具体的な調達額とその調達方法を決定することになる。

(3)資金調達方法には、不動産証券化の進展によって一般的となったノンリコース・ローンやストラクチャード・ファイナンスもあるが、最近の新しい手法としては、金融機関からの借入ではなく、ある目的に賛同する不動産特定多数の人々からインターネットを通じて小口の金額で調達するクラウドファンディングも注目されるようになってきた。

(4)金利水準は様々な要因によって変動するので、事業の安定化のためには長期の固定金利による借入が適しているといえるが、一般的に短期に比べて長期の金利は低く、また変動金利に比べて固定金利は低くなっている。




設問3

分野:事業・実務(2)
内容:DCF法

不動産投資分析におけるDCF法に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

(1)不動産の価格を算定する場合、原価法、取引事例比較法、収益還元法の3つの方法が知られているが、賃貸の用に供している不動産を購入する者は投資採算性を重視することが通常で、収益性に着目して求める収益価格が最も重視されるため、収益還元法が多く用いられるが、その一つがDCF法である。

(2)DCF法は、不動産の保有期間に得られる純収益と、保有期間終了時の不動産の売却予測価格を、それぞれ現在価値に割り戻したものを合計して不動産の収益価格を求める手法であるが、純収益や売却手取り額というキャッシュフローの的確な予測、割引率の精緻な適用などが不可欠である。

(3)割引率は、標準的な金融資産などに対して投資家が期待する基本の利回りと、不動産投資一般や個別不動産の特性から生じる基本利回りとの乖離というリスクプレミアムの両方を要因として求めることができ、リスクが高い場合はそれに見合う高い利回りが設定される。

(4)IRR(内部収益率)は、対象不動産が将来生み出すキャッシュフローの現在価値の総合計すなわちNPV(正味現在価値)が、投資額と等しくなる利回りであるが、IRRが、国債の利回りに不動産固有のリスクプレミアムを上乗せした利回りを上回れば、必然的に投資適格と判断されることとなる。




設問4

分野:事業・実務(3)
内容:不動産を中心とした相続対策提案

不動産の相続対策提案に関連する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。以下の1~4の中から選びなさい。

(A)相続税法は、相続税の納税者や納税額の算出方法、納税方法等を定め、他方で民法は、相続に関する権利義務の範囲等を定めており、この両者が相互に関係して適切な相続が行われることを図る制度となっており、両者における相続財産の範囲やその評価方法などは、ほとんど差異が生じないこととなっている。

(B)依頼者の相続人が1人である場合には、遺産分割をめぐる争いが生じる懸念はなく、相続の事前準備として信託制度の活用を検討する必要はないので、事前対策は、不動産の有効活用や資産の組換え、相続税の軽減策や納税資金対策に絞り、これらを優先的に実行する方がよい。

(C)相続時精算課税制度、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税制度、贈与税の配偶者控除などの優遇的な贈与制度を活用しつつ、相談者が自分の意思を反映させ、相続争いを未然に防ぐために予め贈与しておくことも有効な相続対策の一つである。

(D)相続対策には、節税ニーズ以上に相続争いの予防のための分割対策や納税資金対策などが優先される場合もあり、相談者の家族の事情、家族構成、財産構成、家族の将来の生活設計なども踏まえて、十分に検討することが重要である。

1:一つ
2:二つ
3:三つ
4:四つすべて




設問5

分野:経済・金融(1)
内容:日本銀行の役割や政策

日本銀行の役割や金融政策に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

(1)日本銀行は、政府の銀行として、国の資金である税金や社会保険料の受入れなど国庫金に関する事務のほか、国債元利金の支払いなどの国債に関する決済処理事務や外国為替市場における為替介入事務などを取り扱っている。

(2)日本銀行当座預金は、金融機関が他の金融機関や日本銀行、あるいは国と取引を行う場合の決済手段、金融機関が個人や企業に支払う現金通貨の支払準備、準備預金制度の対象となっている金融機関の準備預金、という主に3つの役割を果たしている。

(3)日本銀行は、金融機関や企業等の資金調達の円滑確保に万全を期し、金融市場の安定を維持する観点から令和2年3月に新型コロナウイルス感染症に対応した貸付金利がゼロ%、貸付期間1年以内の金融支援特別オペレーションを導入した。

(4)日本銀行は、企業金融の円滑確保に万全を期すとともに、金融市場の安定を維持し、企業や家計の信用悪化を防止するために、市中からの流通国債の買い入れのほか、新規発行国債、ETF、Jリートの買入れも活用しながら円資金を市場に供給している。




設問6

分野:経済・金融(2)
内容:株価

株価などに関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

(1)金利と株価とは、一般的には逆相関の関係にあるとされているが、それは、例えば金利の低下局面では、債権などへ投資する魅力が下がる、消費者の消費を促し企業業績に好影響を与えるなど、投資判断利回りが下がることにより、株式の許容取得価額が上昇するからである。

(2)株価の妥当性や投資価値を判断する際の基準値としては、会社の収益力を判断する指標となる、1株当たりの利益をもとに株価がその何倍まで買われているかを表す株価収益率(PER)や、会社の資産内容や清算価値、財務体質を判断する相対的な指標となる、1株当たりの純資産額に対して株価が何倍まで買われているかを表す株価純資産倍率(PBR)などがある。

(3)株価は多数の投資家が参加する株式市場で形成された合意であることから、その動向を示す株価指数は景気指標としての機能を有しており、代表的なものでは、東証1部上場銘柄から選定された225銘柄の株価を指数化し、日本経済新聞社が公表する「日経平均株価」や、東証1部上場の内国普通株式約1,700の全銘柄の株価を平均化し、東京証券取引所が公表する「TOPIX」などがある。

(4)外国為替レートの変動も株価に大きな影響を与える要因の一つであるが、円高・円安の動向と株価の騰落との関係は、企業の輸出入の状況や海外投資家の行動などによってプラスとマイナスの両面があり、単純ではない。




設問7

分野:建築・公法(1)
内容:環境・省エネ

建物における環境および省エネに関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

(1)建物の断熱工法のうち、内断熱工法は一部屋や短時間の利用に適しているが、結露が起きやすい、外断熱工法は全室・全館の連続冷暖房に機能を発揮するものの、内断熱工法に比較してヒートブリッジ現象を起こしやすい。

(2)太陽光発電など自然エネルギーを利用した設備の設置にあたっては、イニシャルコストやランニングコストの費用面だけではなく、設備機器の寿命、メンテナンスの作業負担なども含め総合的に検討しなければならない。

(3)既存ビルの省エネ改修工事には、空調・照明の更新、外壁・窓ガラスの断熱性能向上、照明点灯の人感センサー化などがあり、経済産業省では、省エネ改修の実施により、2030年までにエネルギー消費量を2011年比で半減させることを目指している。

(4)屋上緑化や壁面緑化は、土壌の厚みによる断熱性能の向上、植物の葉や枝による日射遮蔽効果、灌水設備による蒸散効果などが期待でき、省エネ対策やヒートアイランド現象の抑制などに繋がるものであるが、土や落ち葉によるドレインの詰まり防止管理や地下茎に対する防根対策などが必要になる。




設問8

分野:建築・公法(2)
内容:最近の新設・改正法令

最近の新設・改正法令に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

(1)「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」によれば、建築物の新築および省エネ改修を行う場合に、誘導基準等に適合している旨の所管行政庁の認定を受けた建築物について、省エネ性能向上のために必要な設備等の設置により通常の床面積を超える床面積は、そのすべてが容積率算定の基礎となる床面積には算入されないこととなった。

(2)田園住居地域において建築できるのは、第2種低層住居専用地域に建築可能なもの、農産物の生産・集荷・処理又は貯蔵に供するもの、地域で生産された農産物の販売を目的とする店舗、飲食店その他これらに類する用途に供するものなどであるが、建蔽率・容積率・高さなどの形態規制は、低層住居専用地域と同様である。

(3)「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」によると、入居が敬遠されがちな高齢者や低額所得者、子育て世帯等の住宅確保要配慮者について、民間の空き家等を活用し、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度が平成29年に創設され、一定の要件を満たす登録住宅には改修費の補助制度がある。

(4)住宅宿泊事業法によれば、住宅宿泊事業の日数は年間180日を上限とされているが、都道府県等は、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生、その他生活環境の悪化を防止するために必要があるときは、合理的と認められる限度において区域を定めて、期間を制限することができるため注意を要する。




設問9

分野:私法
内容:契約の解除および損害賠償請求

契約の解除や、損害賠償請求などに関する次の記述のうち、民法および判例によれば、不適切なものはどれか。

(1)債務不履行により債権者が契約を解除する場合は、債務者に対し一定の期間を定めて履行の催告をしたことが解除権行使の要件となるが、債務の全部が履行不能のときや、債務者が債務の履行の全部を明確に拒絶したときなどは、債権者は無催告で直ちに契約を解除することが認められる。

(2)Aが所有し賃貸中の建物について、Bから購入希望があり、自宅として使用するので空き家になったことを確認して売買契約を締結したいとの条件であったため、Aが入居中の賃借人と交渉し立退きを完了させたが、売買契約締結の直前になって、Bから購入を断ってきたような場合、未だ売買契約が成立していなくても、AからBに対する逸失賃料等の損害賠償請求が認められる余地がある。

(3)請負契約の注文者は、請負人が仕事を完成しない間は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができ、また、仕事の目的物が動産か不動産かにかかわらず、目的物に契約不適合となる欠陥等があるときは、債務不履行の一般的な規定により契約を解除することも可能である。

(4)不法行為に基づき行為者に損害賠償を請求する際に、被害者等が損害および加害者を知った時から3年間請求権を行使しなかったときは、請求権は原則として時効消滅し、この他、不法行為の時から20年間請求権を行使しない場合も、除斥期間として請求権は確定的に消滅する。




設問10

分野:税制
内容:非居住者に関する源泉徴収等

非居住者との日本国内にある不動産の取引についての源泉徴収等の取扱いに関する次の記述のうち、適切なものはどれか。なお、非居住者について源泉徴収の免除証明書交付はないものとする。

(1)不動産売買の個人売主が日本国内に住所を有していても、日本に引き続き居住している期間が1年未満の場合には非居住者とされるため、買主には代金等の支払いに際して源泉徴収義務がある。

(2)非居住者から不動産を購入した場合、買主は、所得税と復興特別所得税合計で売買代金等の10.21%を源泉徴収する必要があるが、売買代金が2億円以下の場合は、源泉徴収は不要である。

(3)非居住者に不動産の賃貸料を支払う場合、その賃貸料から所得税と復興特別所得税合計で賃貸料の20.42%を源泉徴収する必要があるが、賃借人がその不動産を店舗として使用する場合は、源泉徴収は不要である。

(4)売買契約の買主や賃貸借契約の賃借人が法人の場合は、売買代金や賃貸料を非居住者に支払う際には源泉徴収が必要であり、これにより源泉徴収した所得税は、売買代金等の支払の翌月10日までに税務署へ納付しなければならない。




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