Step to コンサル!

2021年07月13日公開  解答時間:10分目安

Step to コンサル 初級編

設問1

分野:不動産コンサルティングとは
内容:不動産コンサルティングの心得

不動産コンサルティングの心得に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。以下の1~4の中から選びなさい。

(A)不動産コンサルティングとは、顧客の依頼する問題を課題にシフトして、その課題を解決していくことであるが、その問題が顧客にとって本当に本質的な問題なのかを確認する必要がある。

(B)不動産コンサルティングが担う分野は非常に幅広い領域であり、かつ、時代の変遷や消費者ニーズの変化等に対応することが不可欠であるので、常に社会の動向すなわち国内外の政治経済動向などをチェックする好奇心が必要である。

(C)依頼者にとって最良・最善の提案をするためには、当該案件に関係する最新の事業動向の把握と、法定資格士など各分野の専門家との連携が重要であり、その前提として、業務を行う者が、年々進歩する建築等の技術面や、法令・税制の改正等を常にフォローしていく向上心を持つことが必要である。

(D)いわゆる「企画提案型の不動産コンサルティング」においては、企画・提案そのものが報酬の対象となるので、構成力・企画力・発想力はもちろんのこと、文章力や話し方、これら全てを総合したプレゼンテーション能力も修得し、磨きをかけていく必要がある。
 




設問2

分野:事業・実務(1)
内容:調査

土地の有効利用における調査に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

(1)土地の有効活用における調査は、基本的には、調査の目的、方法を一定の方向と範囲に絞り込んで効率的に進めることが実務上重要であり、そのためには原則として、対象地に成立可能な建物用途や業種を想定する仮説の設定、物件調査、市場調査という手順に沿って行うのが通例である。

(2)対象地の隣接地等が空地となっている場合、あるいは低層建物が建っている場合は、隣接地等について、特定行政庁などで「建築計画概要書」を閲覧し、建築計画がある場合は、その建物の規模・建築時期等を把握したうえ、対象地の企画提案に反映させる必要がある。

(3)物件調査は、対象地概要の把握、建物計画の策定、適正用途の判定などを目的として、物件特性・法的規制・権利関係等を客観的に調査するものであるため、通常、対象地の評価額は調査項目には含めない。

(4)市場調査では、有効活用事業成立の可能性や将来の競争力等の判断のため、想定した用途や業種の建物に関し、事業費関連動向のほか、周辺市場動向、賃貸需給動向、賃貸条件などをチェックすることが重要である。




設問3

分野:事業・実務(2)
内容:テナント計画

テナント計画に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

(1)賃貸事務所ビルのテナント計画にあたっては、立地分析、マーケットリサーチから、どのようなニーズがあるかを想定し、これに基づきビルコンセプトを設定して、入居させたいテナントの業種、業態などの大まかな方針を策定することが大切である。

(2)商業系テナントの賃料負担能力は、例えば、物販系テナントよりも飲食系テナントの方が、粗利益率の違い等により坪単価賃料を高めに設定できるケースもあることなどから、当初の想定とは異なる業種のテナントで再検討するなど弾力的な対応が必要となる場合もある。

(3)複数店舗の集積により構成される商業ビルのテナント戦略においては、いかにテナントミックスを進めるかが大切であることから、通常は、キーテナントの誘致よりも、極力多くの業種のテナントを集めることに注力すべきである。

(4)低層階を調剤薬局や医療系施設、上層階を住居系施設とするなど、テナントミックスによる複合用途の建物を計画する場合には、双方の利用者の動線が交差しないように分離し、低層階と上層階とで異なるエントランスやエレベーターを設置するなど、建物設計面で配慮することが必要となる。




設問4

分野:事業・実務(3)
内容:既存建物のコンサルティング

既存建物を再活用するコンサルティングに関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

(1)現代では、単純に建物を解体して建替えるよりも、蓄積された既存建物を再活用することが重要であるとの考えが広まってきていて、近年、古民家や町家、古い商業ビルなど歴史的に価値ある建造物を、単に文化財として保存するのではなく、改修して活用しながら保存していくなどの実例も増えており、既存建物の再活用の可能性を検討し事業提案するコンサルティング能力が求められるようになった。

(2)このような「既存建物ストックの再活用」の考え方が広まった背景や要因としては、建設費用の削減や投資効率など経済的な観点、建物解体による環境負荷軽減の観点、建物の耐久性の向上や維持保全技術の進歩などの技術的側面、建物利用者のライフスタイルの多様化などがあるが、この考え方の普及を推進する国の施策は少なく、主に民間を中心に展開されている思想といえる。

(3)借入金により築古物件のリノベーションを行った場合の税務上のメリットとしては、設備を中心に減価償却費や借入金の利子による損益計算上の支出が増えることによる所得税の軽減効果を見込めるという点があげられる。

(4)既存建物の調査や点検の見方として、インスペクションが不具合箇所を洗い出して補修等を行うものであるのに対し、既存建物の価値を見出し、それをさらに向上させるという視点もあり、そのための知識や能力を身に付けることが重要であるが、後者のような見方や作業を「エバリュエーション」ということがある。




設問5

分野:経済・金融(1)
内容:不動産コンサルティング業務における経済・金融知識の必要性

不動産コンサルティング業務における経済・金融の知識の必要性に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

(1)需要と供給の関係は、経済や金融を理解するための基本的な原理であって、不動産の取引市場も基本的にこの原理に基づいて推移しているため、不動産コンサルティング業務を行う際には社会的背景なども理解したうえで不動産に関する需給や市場動向の予測を立てるとともに、経済や金融の動向について相応の期間にわたる見通しを持つことが求められる。

(2)十数年前の米国のサブプライム住宅ローン問題による影響をみても分かるように、経済や金融のグローバル化のもと各国の経済は密接に関連し、不動産市場を含む日本経済も国外の政治経済動向から大きな影響を受け易い構造となっているので、国内だけでなく海外情勢の把握も不可欠である。

(3)金利水準や金融機関の貸出態度は、金融商品と不動産との比較による投資選好の判断などを通じて不動産市場の動向にも密接な関連を有しており、情勢の把握は不可欠であるが、不動産コンサルティング業務の一つである不動産有効活用の提案業務における事業手法の検討や選択という側面からみると、関連性・重要性は低いといえる。

(4)不動産コンサルティング業務を行う際には、依頼者が負う不動産有効活用や不動産投資などについてのリスク、つまり「将来の不確実さからくる不利益負担」を受託者が把握し、軽減に努めることが重要であるが、その前提として、受託者には経済や金融の動向について相応の期間にわたる見通しを持つことが求められる。




設問6

分野:経済・金融(2)
内容:少子高齢化と日本の社会経済

日本社会の少子高齢化の状況や日本経済に与える影響などに関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

(1)日本では、急激な速度で高齢化が進展しており、65才以上の老年人口が全体の1/4以上という世界にも例のない超高齢社会となっているが、これには、太平洋戦争の敗戦後に出生し「団塊の世代」と呼ばれる、人口数が他よりも多い層が形成されたことや、1980年頃から続く、出生率の低下による少子化傾向が大きく影響している。

(2)地方公共団体においても、高齢化・人口減少社会への早急な対応を迫られており、不動産に関連する分野における政府から地方公共団体に対する支援として、いわゆる「コンパクトシティ」形成のための省庁横断的な支援体制の整備や、地方の都市計画策定に活用しうる「健康・医療・福祉のまちづくりの推進ガイドライン」の制定などが行われている。

(3)日本では、生産年齢人口に続いて、総人口も間もなくピークアウトを迎える見込みであり、「人口減少社会」の到来が目前に迫っている状況であるが、近年の合計特殊出生率の改善などにより、人口が1億人を割り込むと推計される時期は2048年から2053年に伸びている。

(4)総務省の統計によれば1990年から2015年までの世帯人数2人以上の世帯主年齢別資産状況の推移は、世帯主が40歳代の世帯では純貯蓄が1990年から減少傾向にあり、2015年ではマイナスに転じた一方、世帯主が60歳以上の世帯の純貯蓄はこの間2,000万円を超えた状況を維持している。




設問7

分野:建築・公法(1)
内容:建物の安全性

建物の安全性に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

(1)防火区画は、火災による延焼をくい止める性能を有する壁などで区画することにより、安全な避難経路の確保や消防活動を容易にすることを目的としており、面積区画や異種用途区画など、面積や用途などによって基準が定められ、区画する材料の耐火性能も規定されている。

(2)火災時には建築物の天井や壁などの屋内の可燃物から発生する煙等を有効に屋外に排出し、建築物内部の人を安全に避難させる必要があることから、建築物の用途や規模等により、自然排煙方式あるいは機械排煙方式による排煙設備を設けなければならない。

(3)一定基準以上のアスベストを含有する吹付け材、保温材、成型板の建材の使用が設計図面や目視調査などにより判明した場合は、それらすべての建材について直ちに除去や封じ込め工事を実施する必要がある。

(4)消防法で設置が義務付けられている住宅用火災警報器は、戸建住宅や木造アパート、店舗併用住宅の住宅部分だけでなく、耐火構造のマンションも設置対象に含まれている。




設問8

分野:建築・公法(2)
内容:建築物のボリューム

建築基準法の建築物の高さと容積率に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

(1)幅員が6m以上12m未満の道路に接する敷地について、当該前面道路が一定の条件に該当する特定道路の場合は、その幅員に応じて一定の数値が道路幅員に加算されるため、建築基準法の前面道路幅員による容積率の制限が緩和される。

(2)敷地内に政令で定める空地を有し、かつ、その敷地面積が政令で定める規模以上である建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上および衛生上支障がなく、かつ、その建蔽率、容積率および各部分の高さについて総合的な配慮がなされていることにより市街地の環境の整備改善に資すると認めて許可した建築物は、その許可の範囲内において、容積率、絶対高さ制限、斜線制限による限度を超えるものとすることができる。

(3)老人ホームの共用の廊下又は階段の用に供する部分の床面積については、建築物の各階の床面積の合計に3分の1を乗じて得た面積を限度として容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入されないこととされた。

(4)連担建築物設計制度は、特定行政庁が認定することにより、本来は複数の敷地にある既存建築物を含んだ新築部分について、これらの建築物が存する一団の土地を一つの敷地とみなす制度で、各建築物が同一の敷地内にあるものとみなして、敷地全体の容積率を緩和するものである。




設問9

分野:私法
内容:定期建物賃貸借

定期建物賃貸借に関する次の記述のうち、借地借家法および判例によれば、不適切なものはどれか。

(1)定期建物賃貸借契約を締結しようとする賃借人が、当該賃貸借契約は更新がなく期間の満了により終了する旨を認識している場合でも、賃貸人には、契約に先立って、定期建物賃貸借契約書とは別個の書面を交付して、更新がなく期間の満了により終了する旨を賃借人に説明することが義務付けられている。

(2)期間1年以上の定期建物賃貸借契約で、期間満了の2か月前に賃貸人が、賃借人に対する終了通知をしていなかったことに気づいた場合、終了通知は契約期間満了の6か月前までに行わなければならないことから、賃貸人は賃借人に契約終了や建物明け渡しを主張できず、契約は期間満了後に普通賃貸借契約へ転換することになる。

(3)普通建物賃貸借においては、賃借人の中途解約を認める特約を設けることにより、賃借人は解約ができるが、定期建物賃貸借では、契約上の定めがなくても、一定の建物については、賃借人が転勤・療養等やむを得ない事由により建物の使用が困難になったときは、1か月の予告期間で解約申し入れができる。

(4)普通建物賃貸借においては、契約当事者は賃料の増減額を請求することができるが、定期建物賃貸借では、契約上で定めることにより、賃料の増減額を行わない取扱いとすることができる。




設問10

分野:税制
内容:不動産譲渡所得の内容

不動産の譲渡所得についての税制に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

(1)会社の経営者が、当該会社所有の建物を建設するにあたり、敷地とする土地をその会社に贈与した場合、この土地の所有権移転については対価を得ていないので、譲渡所得にはならず課税されない。

(2)不動産を売却した場合、譲渡所得の収入金額となるのは買主から実際に受領した売買代金等になるので、不動産の所有権は移転したが売買代金を得ていない場合には、収入金額は発生しないことになり課税は行われない。

(3)不動産の譲渡所得の計算にあたり、業務用不動産の場合は減価償却後の年初未償却残高が取得費となるが、自己の居住用不動産の場合は減価償却がないので、購入代金や媒介手数料などの一定の費用の額がそのまま取得費となる。

(4)不動産を譲渡した場合の取得費が不明な場合は、譲渡収入金額の5%相当額を取得費の金額として計算することができるが、実際の取得費が譲渡収入金額の5%相当額に満たない場合も、その5%相当額を取得費とすることができる。




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