スコア道場

2018年09月11日公開  解答時間:10分目安

スコア道場 初級編 Vol.4

設問1


越境、境界確定に関する次の記述のうち、不適切なものを一つ選びなさい。

(1)隣地所有者から越境している建物の撤去を求められていたため、売主は、「物件の引渡しの時期までに越境物の撤去を完了する」ことを売買契約の売主の義務とした。この場合、越境物の撤去の方法、工事期間、原状回復等について事前に施工業者と打合せをしておくことは必要であるが、当該隣地所有者とその内容について承諾を得ておく必要はない。

(2)越境物がある状態のまま買主が引渡しを受けることを売買契約の条件として、売買契約書の記載を「売買対象建物の庇の一部(長さ約〇m幅約〇㎝)が隣接地(所有者:○○、地番:○番〇)に越境していることを買主は容認する」と記載をした。

(3)隣地の前所有者との間に境界を確認する書面があり、かつ境界標も存する場合であっても、改めて隣地の現所有者と境界確認をする必要がある。

(4)越境物に関する覚書は、当事者間で越境の事実及び越境の解消時期を確認すること、並びに第三者に譲渡又は貸与する場合には覚書の確認事項を承継させる旨の合意を盛り込むことが必要である。




設問2


実測売買に関する次の記述のうち、不適切なものを一つ選びなさい。

(1)私道分を含む場合、セットバックを要する場合などは、実測売買における面積の考え方に、「売買対象面積」「実測対象面積」「精算対象面積」などがあり、各々が対象とする面積が何であるかを当事者によく理解させる必要がある。

(2)実測売買を行う際の重要なポイントは、①精算の単価と精算方法を明確にする、②実測対象面積を明確にする、③実測の種類(方法)を明確にする、④実測費用の負担を明確にする、 ⑤実測面積と登記簿面積が異なった時の処置を明確にする、などが挙げられる。

(3)売買対象部分に私道部分の持分が含まれる場合は、その持分面積を除いて「有効宅地部分」を精算対象面積とするのが一般的であるが、前面道路が42条2項道路でセットバック予定部分が含まれる場合は、セットバック部分を含め精算対象面積とすることが望ましい。

(4)実測の結果、登記簿面積との間に一定面積以上の相違が生じたときに精算を行うという方法があるが、この場合、相違面積の算定方法、基準(例えば、小数点以下は切り捨てるなど)を明確にしておくことが肝要である。




設問3


不動産の売買において、過去の地歴や地中埋設物に関するトラブルが多くみられる。これらの調査方法に関する次の記述のうち、不適切なものを一つ選びなさい。

(1)過去に作業所や工場などの建物が建っていた土地だけでなく、土地が長期間未利用であった更地や山林なども、地中埋設物などの危険性がある。

(2)周辺の土地利用形態や建築物の状況から、地中埋設物や土壌汚染に関するリスクの可能性を想定し地歴調査を実施することは、取引の安全確保のために重要である。

(3)地歴調査の一つである過去の住宅地図を調査する場合、国立国会図書館所蔵の住宅地図は、東京23区で1950年代末以降、その他の地域で1970年代以降しか保存されていない。

(4)地中埋設物が存在する可能性が高い場合、売主の了解を得て、専門家による地中埋設物の調査を実施すれば、地中埋設物のリスクを完全に取り除くことは可能である。




設問4


不動産の売買において、水道や下水道などの埋設管に関するトラブルが多くみられる。これらの調査方法に関する次の記述のうち、不適切なものを一つ選びなさい。

(1)埋設管の調査の場合、水道局や市役所等の所管部署で水道埋設管の図面や公共下水道台帳などを確認するが、特に下水道は、本管の位置や管径については把握していても、引込管に関しては記載されていないことが多いため、現地調査と近隣住民への聞き取り調査が重要である。

(2)水道埋設管や公共下水道台帳の図面を入手した場合でも、現地調査する際には、目視可能な枡や止水栓などの施設について必ず図面と照合して、位置を確認すべきである。

(3)埋設管が私設管の場合、当該管へ接続可能かどうか承諾を得るだけでなく、接続時や維持管理に関する費用負担についても必ず調査確認を行う。

(4)下水道の公共マス(枡)は、公共下水道が整備されると原則1宅地に1つ道路部分に公共汚水マスが設置される(敷地内に設置されていることもある)。物件調査において、下水道については、公共下水道台帳と公共汚水マスの位置が一致していることを確認すれば、現地調査としては十分といえる。




設問5


不動産の売買において、物件に設置された擁壁の安全性に関するトラブルが多くみられる。次の擁壁のうち、最も危険性の低い擁壁を一つ選びなさい。


(出典)横浜市建築局「擁壁のはなし」より




設問6


売買対象である本件土地に隣地の水道管が越境している場合に関する次の記述のうち、適切なものを一つ選びなさい。

(1)売主が、本件土地に隣地の水道管が越境していることを知らなければ、売買契約における瑕疵担保期間中であっても、売主は瑕疵担保責任を負わない。

(2)売主が、本件土地に隣地の水道管が越境していることを知っていたにもかかわらず、買主に告知しなかった場合、売買契約で「売主は瑕疵担保責任を負わない」旨の特約をしているときは、買主は、売主に瑕疵担保責任を追及することができない。

(3)買主は、隣地の水道管が本件土地に越境していることを告知されず、当該水道管を過失により破損させた場合、不法行為による損害賠償の責を負うが、瑕疵担保責任期間中であれば、売主に瑕疵担保責任として求償することができ、媒介業者は、売主の瑕疵担保責任期間経過後でも、過失の有無にかかわらず宅建業法第47条第1号の重要な事項の調査説明漏れの責任を負う。

(4)隣地の水道管が越境している場合、隣地の所有者と、越境の事実確認及び将来の越境の解消について覚書を取り交わし、買主がこれを容認し、当該覚書を承継することが、取引の安全を確保することとなる。




設問7


個人の買主が住宅ローンを利用してマンションを購入する場合において,売買契約に次のようなローン条項を設ける際における次の記述のうち,不適切なものを一つ選びなさい。



(1)仲介業者としては、買主に住宅ローンの事前審査を受けてもらい、金融機関の事前承認を得た上で売買契約を締結してもらうようにすべきである。

(2)上記ローン条項の第1項は、「標記の融資承認予定日までに、融資の全部又は一部について買主の責に帰すべからざる事由により承認を得られないとき…」とすべきである。

(3)買主において、都市銀行のいずれかに融資申し込み予定であるが、契約締結時までに融資申込み先を絞り込むことができないときは、「融資機関名・取扱支店名」の欄が空欄ではローン条項が成立しないので、ひとまず「都市銀行」とだけでも記載すべきである。

(4)上記ローン条項の第3項として、「買主は,標記の融資のうち、いずれか一つの融資の全部について承認が得られたときは、当該融資金額だけで売買代金支払いのための資金調達ができるため、第1項の解除権を行使することはできない」を追加すべきである。




設問8


不動産売買取引において、当事者が死亡した場合に関する次の記述のうち,適切なものを一つ選びなさい。

(1)所有者の死亡後に、遺産分割協議が未了の不動産について、相続人の一部から不動産売却の仲介の依頼を受けた。この場合、遺産分割協議未了である以上、相続人のうちの一人が代表者となって、他の相続人が代表者に不動産の売却とそのための仲介契約の締結について委任していたとしても、不動産の売買手続をすることはできない。

(2)所有者から不動産の売却について媒介の依頼を受けていたが、売買契約成立前に売主が死亡した。この場合、相続人がいれば、相続人が委任者の地位を相続することとなるため、そのまま仲介を続けてよい。

(3)所有者から不動産の売却について媒介の依頼を受けていたが、売買契約成立後、決済・引渡し前に売主が死亡した。この場合、売買契約の当事者たる地位を相続人が承継することとなるため、当該売買契約はその効力を失わない。

(4)売買契約成立後、決済・引渡し前に買主が死亡した。この場合、売買契約の当事者たる地位を相続人が承継することとなるが、相続人が当該不動産を不要と判断した場合は、売買契約を当然に解除することができる。




設問9


Aは入社5年目の先輩社員であり、Bは入社2年目の社員である。Bが担当した土地の売買が、平成29年10月1日契約成立に至り、同年11月15日に決済の予定となっている。下記の会話は、この契約に関して、同年10月15日に、BがAにアドバイスを求めたときのものである。次に記述する1から4のAのアドバイスのうち、不適切なものを一つ選びなさい。

(AとBの会話)
A:先日のマイホームを建てたいという希望のあった土地の売買契約は、よくまとめたと思うよ。
B:その売買契約について、相談したいことがあるんです。あの土地は、売買契約のときまで20年近く更地で、駐車場として使われていたんですけど、先週、仲間の不動産業者のCさんと情報交換をしているときに、ちょっと気になることを聞きました。
A:気になること?
B:更地になる前には土地上に2階建ての建物が建っていて、2階のベランダで居住者が首を吊って自殺したと言うんです。自殺のあったすぐ後に、建物は取り壊されたということでした。


(1)
A:それは大事な情報だ。たとえ20年前という過去の出来事でも、建物で自殺があったことは、瑕疵に該当し、説明すべき事項になる可能性があるね。
B:だけど、仲介業者の業務としては、もうすでに重要事項説明をしたうえで、契約も済んでいます。契約が成立した後にも、まだ、仲介業者が説明義務を負うなんていうことはあるんですか。

(2)
A:たしかに、売買契約の前に自殺が分ったのならば説明をしなければならないけど、売買契約が成立した後には、仲介業者には説明義務はないね。
B:売買の対象が土地なのに、土地の上の建物で自殺があったことが、瑕疵になるなんていうことがあるんですか。

(3)
A:土地上の建物の自殺でも、土地の売買への心理的な影響があると判断されることは多い。土地に駐車していた自動車の中での自殺だって瑕疵とされている。
B:ところで、今回の売買について、仲介業者としては、売買契約の前に土地上の建物で自殺があったかどうかを調査しなければならなかったということはないでしょうか。
A:買主から、そのような調査を頼まれたことがあったかい?
B:調査を頼まれたり、質問されたりしていませんし、自殺が疑われるような事情もありませんでした。

(4)
A:だったら大丈夫だ。頼まれたり質問されていないなら、仲介業者には、積極的に自殺があったどうかを調査する義務はないよ。




設問10


買主Aは、宅建業者Cの仲介により、売主Bから戸建ての既存住宅を購入したが、引渡しの後、雨漏りとシロアリの被害が見つかった。この場合の、B又はCの責任に関する次の記述のうち、適切なものを一つ選びなさい。
なお、Aは、売買契約を締結するにあたって、玄関、浴室、水道管の配管、天井、床及び壁の張り替え、窓枠の取り替え、給湯設備の設置について、購入後にリフォームを行うことを予定していたものとする。

(1)引渡しの後に雨漏りとシロアリの被害が発見されたことについては、Aが購入後にリフォームを行うことを予定していた以上は、Bが瑕疵担保責任を負うことはない。

(2)売買契約書において、「引渡し時の現況有姿のまま買主に引渡す」との条項が定められていた場合には、引渡しの後に雨漏りとシロアリの被害が発見されたことについて、Bが瑕疵担保責任を負うことはない。

(3)Cは、現地調査時やAへの案内を行った内見時など、室内を実際に目視で確認したときに雨漏りを疑わせるような様子がなく、かつ、Bから過去に雨漏りがあった事実を聞いていない場合には、雨漏りについて専門的な調査義務を負わない。

(4)Cは、売買契約の締結前に、Aがリフォームを行う予定である旨をBに説明していなかった場合には、Bに代わりAに対する雨漏りやシロアリの被害に関しての説明義務違反の責任を負う。




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