建物の建築及び維持保全の状況に関する書類について(則第16条の2の3)【業法の解釈・運用の考え方】
(1)確認の申請書、確認済証及び検査済証について(則第16条の2の3第1号及び第2号関係)
当該住宅が増改築等を行っているもので、新築時以外の確認の申請書、確認済証又は検査済証がある場合には、新築時のものに加えてそれらの書類の保存の状況も説明する必要がある。なお、一部の書類がない場合には、その旨を重要事項説明書に記載することとする。
確認済証又は検査済証が保存されていない場合であっても、当該住宅が建築確認又は完了検査を受けたことを証明できるものとして、建築基準法の特定行政庁の台帳に記載されている旨を証明する書類(台帳記載事項証明書)が交付され、保存されている場合には、その旨を重要事項説明書に記載し、説明することが適切である。
また、検査済証の交付を受けていない住宅の場合においても、「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関等を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」(平成26年7月2日国住指第1137号)に基づく法適合状況調査報告書が作成され、保存されている場合には、当該住宅を増改築等する際の建築確認の資料等として活用できるため、法適合状況調査報告書が保存されている旨を重要事項説明書に記載し、説明することが適切である。
(2)建物状況調査結果報告書(則第16条の2の3第3号関係)
法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施した結果の内容が記載された書類の保存状況について説明する必要がある。
(3)既存住宅に係る建設住宅性能評価書について(則第16条の2の3第4号関係)
住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づき交付された既存住宅に係る建設住宅性能評価書の保存状況について説明する必要がある。
(4)定期調査報告書について(則第16条の2の3第5号関係)
一定の建築物や昇降機等の建築設備については、建築基準法に基づき一定の時期ごとに定期調査報告を行うものとされている。
定期調査報告の対象の住宅等について、過去に複数回の定期調査報告があった場合には、そのうち直近のものに関する書類の保存の状況を説明することとする。
また、取引対象物件自体は定期調査報告の対象ではないが、昇降機等の建築設備については定期検査報告の対象となっている場合には、その書類の保存の状況についても説明する必要がある。
(5)昭和56年6月1日以降の耐震基準(いわゆる新耐震基準)に適合することを確認できる書類について(則第16条の2の3第6号関係)
昭和56年5月31日以前に新築の工事に着手した建物であるか否かの判断に当たっては、確認済証又は検査済証に記載する確認済証交付年月日の日付をもとに判断することとする。確認済証又は検査済証がない場合は、建物の表題登記をもとに判断することとし、その際、居住の用に供する建物(区分所有建物を除く。)の場合は、表題登記日が昭和56年12月31日以前であるもの、事業の用に供する建物及び区分所有建物の場合は、表題登記日が昭和58年5月31日以前であるものについて説明を行うこととする。また、家屋課税台帳に建築年月日の記載がある場合についても同様に取り扱うこととする。なお、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づく既存住宅売買瑕疵担保保険の引受けは、新耐震基準等に適合する既存住宅が対象となっており、昭和56年5月31日以前に新築の工事に着手したものについて、現況検査により劣化事象等が確認されない場合には、①から④までの書類のいずれか有効なものがあれば、新耐震基準等に適合するものとして扱われる。
① 耐震診断結果報告書について 耐震診断結果報告書は、建築士の登録番号、記名及び押印があるものに限ることとする。
② 既存住宅に係る建設住宅性能評価書について 住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づき交付された既存住宅に係る建設住宅性能評価書のうち、日本住宅性能表示基準(平成13年国土交通省告示第1346号)別表2-1の1-1耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)に関して、等級1、等級2又は等級3の評価を受けた建設住宅性能評価書の保存の状況を説明する必要がある。(3)と異なり、等級0の評価を受けた建設住宅性能評価書については、当該書類が保存されている場合であっても新耐震基準等に適合することが確認できる書類ではないため、「無」と説明することに留意すること。
③ 既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書について 売買等の対象の住宅について以前交付された既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書がある場合は、当該住宅が新耐震基準等に適合することが確認できるため、既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書の保存の状況について説明する。
④ 住宅の耐震性に関する書類について 住宅の耐震性に関する書類は、次に掲げるものとする。
・ 建築物の耐震改修の促進に関する法律第4条第1項に規定する基本方針のうち同条第2項第3号の技術上の指針となるべき事項に基づいて指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関又は地方公共団体が耐震診断を行い、作成した耐震診断結果報告書
・ 建築士法第20条第2項に規定する証明書(構造確認書)の写し(建築基準法に規定する構造計算書が併せて保存されている場合には、構造計算書の保存の状況についても併せて説明することとする。)
・ 租税特別措置法施行規則に規定する国土交通大臣が財務大臣と協議して定める書類又は地方税法施行規則に規定する国土交通大臣が総務大臣と協議して定める書類であって所定の税制特例を受けるために必要となる証明書(耐震基準適合証明書、住宅耐震改修証明書、固定資産税減額証明書又は耐震改修に関して発行された増改築等工事証明書)の写し