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売買事例 1410-B-0187
中古マンションの設備の経年劣化と瑕疵担保責任との関係

 一般個人間の売買で、築25年のマンションを買主が引渡しを受けた後すぐに賃貸に出したところ、1か月もしないうちに設備に故障が生じた。そのため、買主は売主に対し瑕疵担保責任を追及した。
 売主は、設備を新しいものに交換することにしたが、その代わり買主に対し、「事後、本件マンションについて、本請求以外の請求を一切しないものとする。」という一札を入れるよう要求した。
 買主がこの一札を入れた場合、買主はその後の「隠れた瑕疵」について、売主に一切の請求ができないことになるか。本件の問題に関連し、設備の「経年劣化」と瑕疵担保責任との関係をどのように考えたらよいか。

事実関係

 当社が先日売買の媒介をした築25年のマンションを、買主が引渡しを受けた後すぐに賃貸に出した。ところが、引渡し後1か月もしないうちに給湯器とガスコンロに故障が生じたため、買主は売主に対し瑕疵担保責任を追及した。
 そこで売主は、その設備を新しいものに取り替える代わりに、買主に対し、「事後、本件マンションについて、本請求以外の請求を一切しないものとする。」という一札を入れるよう要求した。
 なお、本件の売買契約においては、一般個人間の売買であるため、売主は買主に対し、引渡しから3か月間本件マンションの「隠れた瑕疵」について担保責任を負うことになっている。

質問

1.  買主が、売主の要求に応じ一札入れた場合、買主は売主に対し、今後発生する「隠れた瑕疵」について請求が一切できないことになるか。この問題についてトラブルが生じないようにするためには、文面をどのようにしたらよいか。
2.  本件の給湯器やガスコンロの故障に関連し、媒介業者としては、設備の「経年劣化」と瑕疵担保責任の関係をどのように考えたらよいか。

回答

 質問1.について ― 必ずしも一切の請求ができないということにはならないと解される。なぜならば、当事者の意思解釈として、設備については、「その他の設備」も含めて一切免責にするという解釈が可能と考えられるが、「設備以外」の隠れた瑕疵については、それも含めて一切免責にするという意思ではないと解される余地があるので、土地建物のすべての隠れた瑕疵について免責にするという合意をするのであれば、本件の取引は一般個人間の売買でもあるので、その文面に、「本件マンションについて、」の次に「設備以外の隠れた瑕疵も含めて、」という文言を加えることによって、解釈に違いが生じる余地がなくなると考えられる。
 質問2.について ― 「経年劣化」は、法的には「瑕疵」とは異なる概念であり、築後25年のマンションということであれば、設備もそれなりに古いものであることが多い。したがって、もしそうであれば、その古い設備は古い設備なりに、「通常有すべき品質・性能・性状を有している」わけであるから、経年劣化していること自体を「瑕疵がある」ということはできないし、ましてや表に現れている設備であれば、それが作動している以上、「隠れた瑕疵」があるということもできないと解される。
 問題は、その経年劣化による故障の発生が、物件の引渡し後すぐに発生した場合である。このような場合、売主としては、契約時に設備が作動していたのだから、いくら古くても瑕疵があったわけではないので、その後に発生した故障については瑕疵担保責任の対象にはならないと主張するであろうし、逆に買主としては、購入後暫らくはそのまま設備が使えると思って購入したのだから、その故障の原因である経年劣化は瑕疵であり、契約時にはすでに瑕疵があったと言わざるを得ないという主張をしたいであろう。
 このように考えてくると、この問題については、売買の媒介をする宅建業者が、買主に対する事前の付帯設備の説明の中で、その設備が取り付けられた時期や、すでに耐用年数を過ぎており交換の時期がきていることなどを説明するとともに、再度買主に対し、物件の引渡し前に設備の作動状況や劣化状況を確認させることが、このようなトラブルを生じさせない最も有効な方法の1つになるのではないかと考えられる。

参照条文

 民法第570条(売主の瑕疵担保責任)
 売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。

監修者のコメント

 本ケースにおいて買主が売主に対して一札を入れた「事後、本件マンションについて、本請求以外の請求を一切しないものとする」という書面の意味をどう解釈するかであるが、売主としては買主から指摘された給湯器とガスコンロの設備を新しいものに取り替える条件として、今後は何も請求しないことを約束して欲しい、ということであり、これに対して買主は、今後は何も言わないということを約束するという趣旨のものと解される余地も多分にある。
 次に、一般個人間の売買であろうと宅建業者が売主である売買であろうと、設備も売買対象から除外していない以上、瑕疵担保責任の対象であるが、本件のような紛争がしばしば生ずるので、「設備表」を用意し、故障の有無を確認し、また売主が一般個人であるから瑕疵について売主は責任を負わないとか、1か月だけ責任を負うといった明確な特約をしておくことが望ましい。

より詳しく学ぶための関連リンク

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