不動産コンサルティング技能試験

不動産コンサルティング技能試験・登録制度は、(公財)不動産流通推進センターが 国土交通大臣の登録を受けて実施する登録証明事業です。 

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学習方法

下記の「学習にあたって」は、不動産コンサルティング技能試験の受験のために学習すべき範囲ならびに学習上の留意点を示したものです。 なお、試験問題の主な出題範囲については、試験要項「9. 出題範囲」をご覧ください。

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学習にあたって

【ご参考】令和5年度版「学習にあたって」

1.事業・実務

 不動産コンサルティング業務は、「不動産に関する専門的知識・技能を活用し、公正かつ客観的な立場から、不動産の利用、取得、処分、管理、事業経営および投資等について、不動産の物件・市場等の調査・分析等をもとに、依頼者が最善の選択や意思決定を行えるように企画、調整し、提案する業務」です。
 このことから、[事業]・[実務] の科目では、単に不動産取引に関する専門知識だけでなく、不動産を取り巻く環境を分析する能力および事業計画能力、企画提案能力などが要求され、さらには様々な不動産の開発・活用手法をはじめ、不動産投資や資産の組み換え、不動産の証券化、相続対策、既存建物の有効活用に関連する様々な提案などに関する幅広い知識が必要となります。また、依頼者との会話の中で、依頼の動機・目的や背景、資産状況、家族関係等をヒアリングし的確に把握することも重要なポイントとなります。
 [事業]・[実務] の主なポイントは次の通りです。

 [事業] は、不動産コンサルティング技能登録制度や関連する法令・業務に関する最近の動きをはじめ、不動産コンサルティングの相談受付から企画提案書の提出に至る一連の作業、すなわち、相談受付・業務委託契約・調査・事業構想の策定・資金調達・事業収支・企画提案書等についての実践的な知識が求められます。
 また、これ以外にも不動産コンサルティングを進めるうえで必要となる個別の事業手法や関連業務に関する基礎的知識についての理解も必要です。具体的な項目の例としては、事業受託方式、等価交換事業・固定資産の交換、定期借地権・定期借家制度、テナント計画、建物の設計・施工、賃貸管理、不動産の証券化、不動産投資分析、CRE戦略、相続対策提案に関連する項目(背景事象、民事信託やプライベート・カンパニー等の制度の活用)、既存建物の課題解決に関する項目(建て替え、リノベーション・コンバージョン等)などがあります。特に、少子高齢社会の進展や空き家の増加及び既存住宅流通の活性化等の国の政策などにも関連して、相続対策提案や空き家等の既存建物の活用及びそれに関する国の施策にも注目が集まっています。

 [実務] は、不動産コンサルティングの実務知識が内容になっており、具体的には、土地有効活用コンサルティング、定期借地権・定期借家のコンサルティング、相続対策提案、不動産の証券化、既存建物に関するコンサルティング等、不動産コンサルティングに係る応用事例に関し、消費者等の依頼者ニーズに十分応えられるように、法律、税制、建築を含めた総合的な知識と能力の活用が求められる総合的な問題です。

2.経済

 [経済] は、「経済動向が不動産市場にどのような影響を与えているのか」という観点から、「現に動いている経済・動きつつある経済」の動向を日々のマスコミ報道や公的な公表資料などから把握する素養(経済センス)が必要です。それは、公認 不動産コンサルティングマスターが、不動産の物件・市場等の調査・分析等を行う際に「不動産を取り巻く経済情勢、マーケティングに関する知識およびそれらの分析能力」が求められるからです。不動産コンサルティング業務の依頼者との会話の中でも、経済・金融に関する話題が出てくることはよくあることで、これに対して相応の対応ができないようでは、依頼者からの信頼を勝ち得て業務を受託することも難しくなるでしょう。
 具体的な内容としては、「需要と供給の関係」を始めとする経済の基本的な仕組みの把握、経済を動かす主体や要因に関する理解、経済動向を把握し判断するための代表的な経済指標や公的公表資料の把握、国の経済・財政政策や実行状況等に関する理解、土地を始めとする不動産の市場動向の把握、対外不動産投資を含む不動産投資市場の動向の把握などが必要となり、これらに関する知識とその活用が求められます。
 特に、最近の重要な事項としては、人口減少社会や高齢化、産業構造の変化等が日本社会に与える影響、第4次産業革命への対応(AIやブロックチェーン等)、日本の国家財政状況や財政改革に向けた政策(社会保障と税の一体改革)、世界経済からの影響度合いの高まり・国際連動性、環境保全を踏まえたESG投資などがあげられます。

3.金融

 [金融] については、不動産コンサルティングを行っていくうえで、二つの留意すべき側面があります。
 一つは、「金融動向が不動産市場にどのような影響を与えているのか」という側面からの見方であり、経済の一部として「現に動いている金融・動きつつある金融」の動向を日々のマスコミ報道や公的な公表資料などから把握する素養が必要です。「失われた30年」、米国に端を発したサブプライムローン問題、リーマンショック、最近のFRBによるインフレ抑制策と住宅投資の低迷などをみても分かるように、金融市場の緩和や引締めの状況が不動産市場に大きく影響することとなります。
 具体的には、金融市場の基本的な仕組み(担い手、金利の決まり方)、金融市場動向(各種の金融指標など)、日本銀行を中心とした金融政策の内容、金利水準や株価とその動向、国際的関係による為替水準の動向(円高・円安)と日本経済への影響の程度、不動産金融(ファイナンス)に関する知識とその活用などが求められます。
 もう一つは、投資対象資産としての不動産と、金融資産との比較検討(投資選好、ポートフォリオ的視点)の側面です。
 具体的には、国債を含む金融商品の概要、金融商品のリスクとリターン、利用者保護のルール等に関する知識とその活用が求められます。
 また、経済の箇所とも関連しますが、金融市場の急速なグローバル化や金融自由化、IT技術等の進歩によって、世界の為替市場などを通じての資金取引高は飛躍的に拡大してきており、いわゆる「マネー経済」が世界全体や各国経済にも多大な影響を与えている状況をしっかり理解しておく必要があります。
 経済と金融について、最近の市場動向や特徴・背景などに関しては、内閣府の「経済財政白書」や「世界経済の潮流」、国土交通省の「土地白書」、日本銀行の「展望リポート」や「短観」などの公的公表資料の内容を理解しておくことが重要となります。

4.税制

 [税制] については、業務としては税理士などの専門資格士の分野ではありますが、専門家を差配する立場となる公認 不動産コンサルティングマスターとして、基本的な構造・内容を的確に理解しておく必要があります。
 具体的には、不動産の取得・保有・運用・売却に係る基本的な税制の概要、不動産の有効活用事業等に関連する税制や各種の特例・租税特別措置等の概要(等価交換、固定資産の交換、事業用資産の買換え、借地権)、その他では不動産証券化の税務(運用者・投資家)など不動産コンサルティングに関連する税務の知識が必要です。また、個人だけでなく法人に関する税務の知識も必要となります。各種の特例や特別措置については、適用期間や変更点、適用要件を整理しておく必要があります。
 特に、重要な業務分野になってきている相続対策提案に関連しては、相続・贈与に係る税務の理解が必要不可欠になっています。

5.建築

 [建築] については、都市計画法・建築基準法等の法的知識および建築企画から設計・施工・建物維持管理等に関する知識が必要となります。
 具体的には、事業企画の段階で、建築に関する法令規制の知識および建築に関する一連の知識が必要であり、事業計画を確定させる段階では、設計・施工から竣工・管理までの各段階における建築の基礎的知識およびその活用が求められます。
 また、賃貸不動産の入居率アップに向けた空室対策、既存不動産ストックの活用という国の政策等にも関連するリノベーションやコンバージョン、建築物に関する環境保全や省エネ対応の促進、建物・設備に関する法適合性の確保や安全性(防災、耐震改修)なども今日的な問題として押えておく必要があります。
 事業・実務の項目でも触れていますが、既存住宅の建物状況調査やリフォーム、建物のリノベーションやコンバージョンなどは、不動産流通の活性化に関連する周辺業務としても注目されており、不動産ビジネスの契機にもなり得るものとして理解し、建築士他とのコミュニケーションを取れる知識を押えておくことが重要です。

6.法律

 [法律] は、単なる法律的知識を修得するというものだけではなく、不動産コンサルティングを行っていくうえで、現実のプロジェクト(目的)に対してどのような法律判断を必要とするのか、その知識と具体的な活用の仕方が求められます。つまり、それ相応の専門家としての知識が要求されることとなります。
 また、[法律] については、不動産コンサルティングを行うにあたって二つの側面があります。
 一つは、不動産の有効活用・開発に係る公法的規制の側面です。
 具体的には、不動産に係る公的規制(都市計画法、建築基準法など)に関する知識およびその活用が求められます。また、東日本大震災などでの被害を受けて防災や災害復興等に関する法令の新設・改正、人口減少社会を反映してのコンパクトシティへの再編等に関する法令の新設・改正が行われており、その概要を理解しておく必要があります。
 もう一つは、財産としての不動産の管理・運用・処分・承継に係る私法的側面です。
 具体的には、不動産の売買や賃貸に関連する法律(民法、商法、消費者契約法、借地借家法、不動産登記法、信託法など)に関する知識とその活用が求められます。また、相続や遺言、成年後見制度などに関する身分法の分野(民法など)に関する理解も必要となります。これら以外にも、民事執行法などその他の民事法の一部や、会社法など法人に関する法律の知識も素養として必要です。

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