第11章:結果
他にも「マンホールが個人宅の塀の下に食い込んでいる」、「ここの雨水管も寄附の対象となってくるのではないか」といった問題などがあった。
しかし、そのたびに町会住民や船橋市役所の担当者、工事業者と幾度も協議を重ねた。そして、寄附事業は達成された。
ここまでの概算総事業費が約4,250万円(うち、船橋市からの補助金額 約2,340万円)、皆の協力があったからこそはじめて成し得た事業であった。
船橋市長からは「寄附を受け入れる旨の証書」を受領した。
第12章:町会の感想
このときのことが創立50周年記念の町会誌に掲載されている。(抜粋)
排水施設の船橋市への移管の事業については、排水施設の知識や、土木工事全般の知識、不動産の知識、船橋市との交渉、工事業者との交渉など、多くの専門知識や経験が必要で困難な事業でしたが、不動産鑑定士の細沼宏司様に、ボランティアで多大な協力をしていただきました。細沼様なしには、この事業は成り立たなかったと強く感じています。この場をお借りして、細沼様に感謝申し上げます。細沼様、ご協力たいへんありがとうございました。
第13章:振り返って
いかがだったであろうか。意外に簡単に話が進んだかのように思われた方もいるかもしれない。しかし、実際は相手次第で結果が全く変わってしまう場面の連続で、当事者としては心配の尽きない事業であった。
また、大事なことに気づくきっかけともなった。「町会」についてである。
これまでは「町会」というと言葉は悪いが「お年寄りがなんとなく集まって馴れ合いでやっているところ」というイメージしかなく、正直良い印象はなかった。
しかし、ここの町会は違った。町会長は、自ら町会のために精力的に活動される。「粉骨砕身」、まさにこの言葉がぴったりの方である。周りの役員の方もそんな町会長の姿勢に共感し集まってきた方々である。なので、この町会にはとても活気がある。
だから、私も町会に協力したいと思った。だから、今回の事業はボランティアとした。
そして、不動産鑑定士・不動産コンサルティングマスターとして地域に貢献できることを知った。
①現状分析→②問題点抽出(カウンセリング)→③解決策の提案(コンサルティング)→④解決策の実行
これが地域貢献につながるのであれば、こんなに素晴らしいことはない。
また、今回は、船橋市にも多大なご協力をいただいた。
雨水管有無の確認調査、雨水管やマンホールなどをどうしたら受け入れてもらえるのかのアドバイス、補助金制度の活用など、ご担当者の方にも大変ご負担をかけたと思う。この場を借りて感謝申し上げたい。
まさに官民一体となっての事業だった。
そして、この事業を成し遂げられたこと、それを通じて船橋市や町会と「達成感と一体感」を共有できたことの意義は大きい。これは、将来起こるかもしれない災害の際にもきっと大切な意識となるからだ。
町会とつながりを持つことは、防犯面でのプラスも大きい。
仮に、〇〇さん家の近くを見かけない人物がうろついていたとする。あれは誰だ?となってご近所さんが気にかけてくれる。どこにでもあるような一般の家にさえ強盗が入る時代である。そんな地域の目が、とても心強く感じられるのではないだろうか。小さなお子様がいらっしゃるご家庭であれば尚更だろう。
これも、普段からご近所や町会とコミュニケーションが取れていないとなし得ないことである。町会住民が何らかの形でご近所や町会とつながり、同じように「達成感と一体感」を共有できたなら、このような意識が自然と芽生えてくるのではないだろうか。
その点、この町会は素晴らしい。その土台を作る仕組みが多々用意されている(夏祭り、バス旅行、敬老会、レク、地区長会、防犯パトロールなど)。その仕組みを作り献身的に支えてくれる町会長はじめ町会役員、町会事務員の方々には感謝しかない。
私は、地域と関わり、改めて「町会の大切さ」を確認したのだった。
以上
情報提供
旭 株式会社
細沼 宏司(公認 不動産コンサルティングマスター)