RE:アラカルト

一般社団法人HEAD研究会 不動産マネジメントTF 副委員長

伊部 尚子 氏

賃貸不動産の仲介・管理の現場で働くこと20年超のキャリアで、金融機関・業界団体・大家さんの会等での講演多数。オーナー様・入居者様・不動産会社の三方良しを目指して、今日も現場で働いています。
株式会社ハウスメイトパートナーズ 営業本部課長、公認 不動産コンサルティングマスター。

伊部 尚子 氏

2019年06月05日公開 

入居者ニーズを無視できない!賃貸DIYを安全に取り入れるには? 〜「賃貸DIYガイドラインver1.1」公開〜



芸能人が住まいに手を入れる番組などの影響で、DIYがちょっとしたブームになっています。ホームセンター市場4兆円のうち「DIY用品・素材」は1兆円規模に到達し、まだまだ増加しているそうです。リクルート住まいカンパニーが2018年5月に実施した賃貸契約者に見る部屋探しの実態調査では、DIYをしてみたい人が50%超、実際にDIYをやったことがある人が19.2%という結果が出ており、DIYは賃貸不動産管理業界でも無視できないニーズとなってきています。


空き家問題が顕在化し、その対策として国土交通省から2016年4月に「DIY型賃貸借に関する契約書式例」と、活用にあたってのガイドブック「DIY型賃貸借のすすめ」が公表され、翌2018年3月には「家主向けDIY型賃貸借の手引き」が公表されました。しかし、それを運用する側の管理会社や物件オーナーからは「入居者ニーズが見込めるならば興味はあるが、建築の知識が無いためどこまでのDIYを承諾して大丈夫なのかが分からず、導入に不安がある。」という声が少なからず聞かれました。


私自身も賃貸不動産管理会社に勤務しておりますが、私たちの業界は完成した建物の管理を受託し、その原状回復を行うのが仕事でした。つまり、旧来の仕事のやり方をしているうちは、建築の知識はあまり必要がなかったのです。宅地建物取引士の資格試験でも、建築基準法に関しては用途地域くらいしか出てきません。そんな管理会社が、「管理物件をDIY可能にする」という新たなチャレンジに踏み切るためには、「必要な建築法規を理解する」という大きなハードルを超える必要があったのです。


管理会社が手をこまねいている間に、入居者側では賃貸住宅に住んでいても原状回復できる範囲でこっそりDIYをする人が増加していきました。部屋のインテリア共有サイトなどのSNS上では、♯賃貸でも諦めない!というハッシュタグで、情報が拡散されていきました。しかし、ガスコンロのまわりに木製のすのこなど可燃性の素材を貼るような危険なDIYも散見されるようになり、安全性の面から問題が出てきています。共同住宅で万一火災にでもなれば、オーナーの財産を毀損するだけでなく他の入居者の命にも関わります。


管理会社としては危険防止を図らなければなりませんが、これらのDIYは退去時には全て収去できるような方法で無断で行われるため、危険な状態になっていることを知る機会がありません。これらは入居者が「賃貸ではDIYできない」という今の日本の常識を乗り越えるために苦肉の策で行っていることなので、DIY可能な賃貸住宅が増え、きちんと申請し許可を得てからDIYが行われるようになれば、この問題の解決や入居者の安全教育にも繋がるのではないかと思われます。


そして実は、入居者側だけでなく、オーナー側でも賃貸住宅でのDIYに関して変化が起きています。リフォーム費用削減、もしくは原状回復を超えるような魅力あるリフォームをする目的で、自らDIYを行う投資家オーナーが少しずつ増えています。オーナーが施したDIYが合法であり、その部屋が安全に入居者に提供できる状態なのかを、業務の責任上から管理会社や仲介会社が判断できなければならなくなってきたのです。また、オーナー自身がDIYという概念を知らなくても、取り壊しが決まっていたり、リフォーム費用を負担できない場合などに、「安く貸す代わり入居者さんに自由にやってもらっていいから」などと言われるケースも出て来ており、どう契約すれば良いのかを考えなければならなくなってきました。


「どんなDIYならば行っても大丈夫なのか?」を判断するのに知っておかなければならない建築法規は、建築基準法や消防法に規定されている「内装制限」です。内装制限とは、万一火災が発生した際に内装材が燃え広がったり有害なガスを発生したりして避難の妨げにならないよう、建物の用途や規模によって内装材の燃えにくさなどを規定しているもので、新築や増改築の建築設計の際には必須の知識となります。しかし、一級建築士などの専門家でもまれに間違うことがあるほど難解なため、管理会社が自分たちで調べるのには無理がありました。


一般社団法人HEAD研究会では、賃貸DIYを普及させるためには内装制限を誰にでも分かるように整理する必要があると考えました。そこで、実務の第一線で活躍している一級建築士のメンバーの力を借りて、構想から2年以上の歳月をかけて賃貸DIYガイドラインを作成し、ブラッシュアップしてきたのです。本ガイドラインではフローチャート形式を採用しており、管理会社が一般的に持っている知識で「その住戸にどのようなDIYが可能なのか」という内装制限を簡単に調べることができる画期的なものとなっております。今回、誰でも無償でダウンロードできる形で公表いたしましたので、DIY可能な賃貸住宅に取り組みたい管理会社、DIYに関心のある建物オーナーや賃貸住宅入居者にも役立てていただけるものと考えております。



一般社団法人HEAD研究会  賃貸DIYガイドラインダウンロードページ
https://forms.gle/isKoPMtse79ZGpJ87


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