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2112-B-0299
予定するリフォーム工事の内容を誤って調査説明した場合の媒介業者の責任

 当社は売買の媒介業者であるが、売主がリフォーム工事して引渡す物件について、フルリノベーションをスケルトンからのリフォーム工事と軽信して、買主に誤った説明をした。

事実関係

 当社は売買の媒介業者である。買取転売を主とする宅建業者から、リフォームして販売するマンションの売却依頼を受けた。当社担当者が売主業者から媒介契約を受ける際に、売主業者から「当該マンションは、フルリノベーションして引き渡す」ことを条件とすることを告げられた。当社担当者は、媒介契約書の特記事項に、その旨を記載し、媒介契約書を締結した。担当者が物件を確認した際には、リフォーム工事は始まっておらず、業者から内装の仕様書を預かり、販売活動を開始した。担当者はフルリノベーションをスケルトン状態からのリフォームと勘違いし、販売図面及び広告に、『スケルトンからフルリノベーションして引き渡す』旨を記載した。
 広告を出してほどなくして、購入を検討する顧客が当社に来訪、担当者は販売図面を示して当該物件を案内した。顧客は、室内からの眺めや周辺環境を気に入っていた。顧客は担当者に、内装は室内をスケルトンにして工事をすることを再確認したので、担当者は内装仕様書を示し、スケルトン状態からリフォーム工事する旨を説明した。数日後、顧客は再び内覧を希望し、物件に案内したところ、内装工事が始まっていた。間仕切り壁は残っていたが、クロスや床は撤去され、スケルトンにする状態がうかがわれた。顧客は購入意思を固めたので、担当者は、顧客から当該マンションの不動産購入申込書を受領し、契約交渉に入った。売主、買主の取引条件も決まり、売主と買主との間で、売買契約を締結したが、契約書には内装仕様書を添付し、内装工事を完成させた後に引き渡す旨の特約を記載した。
 内装工事が完成し、売主、買主が立会いのうえ、物件の引渡しを終えた。買主は、引越しのため家具を置く位置などを確認するためにマンションを訪れた際に、再度内見にあった仕切り壁は新品のクロスは貼られているが、従前の仕切り壁ではないかと疑問を抱き、当社に、スケルトンからの内装工事であることに間違いないかとの問合せがあった。担当者は、売主業者に内装工事は室内をスケルトンにして行われたものであるかの確認を取ったところ、売主は、スケルトンにして内装工事をするとは言ってないとの回答であった。

質 問

 売主がマンションを内装工事して引き渡す条件の売買契約において、媒介業者が買主に対して、正確な工事内容を説明しなかった場合、媒介業者は責任を問われることがあるか。

回 答

1.  結 論
 媒介業者は、調査説明義務違反により、買主に対して、不法行為又は債務不履行による損害を賠償する責任を負う場合がある。
2.  理 由
 国土交通省は、既存住宅流通市場及びリフォーム市場の拡大を政策に掲げ、住宅ストックの質の向上を目指している。市場拡大の起爆剤として期待されているものの一つに、既存住宅をリフォームして市場に送り出す事業である買取再販があり、買取再販した建物を効果的に市場に排出するために税制をはじめとする種々の措置が講じられている。最近の住宅改修は、既存住宅の古い箇所の内外装リフォームや設備交換にとどまらず、戸建の増改築や構造は残したマンションの間取りや機能の変更、用途そのものを変更して資産価値を高める大規模な改造もみられる。従来の内外装の改良であるリフォームの概念を超え、資産価値を高める改造はリノベーションと称されている。デザイナーによる改良・改造物件も出現し人気を博している。ただし、リノベーションの概念が必ずしも定まっていない面もあり、人により受け取り方が異なることも多く、リフォームとリノベーションを混同する向きもある。
 通常、リフォームは、建物等の内外装の経年変化箇所の補修や変更程度にとどまるが、リノベーションの概念としては、建物の増・改築、間取り変更や建物の用途や機能変更等、資産価値を高めるための改造をいい、フルリノベーションなど大規模な改修工事を伴うものもある。建物の既存の骨格(構造)だけを残して改修工事を行ういわゆるスケルトン状態からの改造では、新築同様の仕様で工事を行う場合が多い。相談ケースのように既存部分を残した改造は、スケルトン状態からのフルリノベーションとはいい難く、フルリノベーションとされていても既存部分を残した工事が予定されているときは、「媒介業者は、スケルトン状態から行われるものであるか否かに関して調査説明をすべきである。媒介業者は自らが説明した内容が事実と異なることについて買主に対して説明すべき信義則上の義務を負い、調査説明を怠ったときは、同義務に違反したものとして、不法行為に基づき(民法第709条)、買主に生じた損害を賠償すべき義務を負う」ことになる(【参照判例】参照)。
 なお、調査については、契約の成立が決まってからでなく、売主との媒介契約を締結する際には必ず確認することが必要である。不動産公正取引協議会の広告規約には「建物をリフォーム又は改築したことを表示する場合は、そのリフォーム等の内容及び時期を明示すること」と規定され(不動産の表示に関する公正競争規約施行規則第10条)、媒介業者が、間違った内容の広告を掲出したときには、同協議会及び所管行政庁により処分を受けることになる。

参照条文

 民法第415条(債務不履行による損害賠償)
   債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
   (略)
 同法第709条(不法行為による損害賠償)
   故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
 宅地建物取引業法第47条(業務に関する禁止事項)
   宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
   宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の契約の締結について勧誘をするに際し、又はその契約の申込みの撤回若しくは解除若しくは宅地建物取引業に関する取引により生じた債権の行使を妨げるため、次のいずれかに該当する事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為
    ~ハ (略)
     イからハまでに掲げるもののほか、宅地若しくは建物の所在、規模、形質、現在若しくは将来の利用の制限、環境、交通等の利便、代金、借賃等の対価の額若しくは支払方法その他の取引条件又は当該宅地建物取引業者若しくは取引の関係者の資力若しくは信用に関する事項であって、宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの
  ・三 (略)
 不動産の表示に関する公正競争規約施行規則第10条(物件の 内容・取引条件等に係る表示基準)
   規約第15条(物件の内容・取引条件等の表示基準)各号に規定する事項について表示するときは、次の各号に定めるところにより表示する。
  (1) 〜(20) (略)
  (21)  建物をリフォーム又は改築(以下「リフォーム等」という。)したことを表示する場合は、そのリフォーム等の内容及び時期を明示すること。
 (以下略)

参照判例

 東京地裁平成25年3月18日 ウエストロー・ジャパン(要旨)
 媒介業者は、売主業者から本件建物部分の内装工事に関する説明を受けた際に、スケルトン状態から内装工事を行うものと軽信して、これを前提に本件チラシ等の資料を作成し、本件内覧の際に、本件チラシ等の内容から本件建物部分に関心を抱いた買主に対し、改めて本件内装工事がスケルトン状態から行われる旨の説明をして、本件内覧の当日に買主から本件建物部分を購入する内容の「不動産購入申込書」の提出を受けたことが認められる。そうすると、媒介業者は、買主が本件建物部分の内装工事がスケルトン状態から行われるという点を考慮要素の一つとして前記申込書を提出していたことを認識していたものというべきであるから、その後本件売買がされるまでの間に、本件内装工事が実際にスケルトン状態から行われるものであるか否かを調査し、自らが説明した内容が事実と異なることについて買主に対して説明すべき信義則上の義務を負ったものというべきである。しかるに、媒介業者は、本件売買を仲介するに際し、この点に関する調査説明義務を怠り、本件売買を成立させたものであるから、買主に対する同義務に違反したものとして、不法行為に基づき、買主に生じた損害を賠償すべき義務を負うものといわざるを得ない(なお、この調査説明義務は、買主と媒介業者との間の仲介契約に基づいて生じた義務であるとは解し難いから、買主の媒介業者に対する債務不履行に基づく請求は理由がない)。
 (中略)
 媒介業者は、買主に対し、不法行為に基づき、本件売買の時点において、前記調査説明義務を果たさなかったことによって買主に生じた損害を賠償すべきである。
 買主は、媒介業者において前記調査説明義務を果たしていれば、それを踏まえて本件売買ないしは本件内装工事の内容に関する交渉を行うことができたもので、そのような機会を失ったことによって生じた損害を慰謝料として評価するのが相当である。

監修者のコメント

 本相談事例の媒介業者の行為は、事実関係から見る限り、調査説明義務違反であることは間違いない。ただ、不法行為にせよ債務不履行にせよ、その義務違反に基づく損害賠償における損害額の立証はなかなか難しい。スケルトンからの工事をしていた場合とフルリノベーション工事の場合と物件価値の差異の算定自体かなり困難であろうし、仮に差があるとしても、その差額が業者の説明義務違反と相当因果関係のある損害といえるかは疑問だからである。参照判例が損害を慰謝料として認定しているのは、そのあたりを考慮してのことと思われる。なお、その判例が「この調査説明義務は、買主と媒介業者との間の仲介契約に基づいた義務であるとは解し難いから…債務不履行(にはならない)、と説示しているのは、必ずしも一般的見解とは言えない。買主との媒介契約関係があるのであれば、媒介契約の債務不履行との構成が十分可能である。
 また、本件の買主が購入交渉の過程においてスケルトンからの内装工事であるから買うというニュアンスの意向を表明していたのであれば、動機の錯誤の動機が表示されていることを理由として、売買契約の取り消しを主張できる可能性もある(民法第95条)。

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