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2112-B-0298
媒介業者が依頼者から報酬として受領できる「依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額」及び「特別の費用に相当する額」の範囲

 郊外地の不動産売買の媒介業者であるが、当社の営業エリアは人口・世帯数の減少と不動産価格の下落が続いている。媒介報酬以外に、当社が営業活動に要する費用を、売却及び購入依頼者から当社が受領することはできないか。

事実関係

 当社は都市近郊の売買の媒介業者であるが、近年、住民の中には都心部へ移り住む人が多い一方で、他所から地元への流入人口は少なく、地域内の世帯数は減少傾向である。媒介依頼を受ける売却不動産は、土地、一戸建てが大半を占めるが、物件価格の値下がりが続き、営業収益が落ち込んでいる。売却依頼者の要望を叶えたいと考えており、物件の売出価格には注意を払っているが、通常の量の宣伝広告活動では、購入検討者の問い合わせも少なく、販売活動を開始してから、売買契約が締結されるまでに時間がかかっている。
 そこで当社は、売却の媒介活動に当たり、依頼者に対し、様々な宣伝・販売活動を提案し、特に依頼者から要望の多い新聞折込チラシを中心に、広告の実施頻度を高めたり、地元以外へも広範な宣伝活動を行いたいと考えている。
 また、当社の営業地域は、最寄駅からバス便の旧分譲地の物件が多く、旧分譲地間の距離も離れている。バスで案内する分には経費はかからないが、バスでの移動は効率が悪いため、購入検討者を複数物件に案内する際は、当社営業担当者が、購入検討者の了解を得て、当社の営業車を使用して物件の紹介をするが、自動車のガソリン代等の経費がかさむことになる。
 また、当社営業地域には、旧分譲地以外にも、数戸の小規模な区画の建売分譲住宅であった物件が点在している。建売住宅分譲の際に、土地造成は谷戸(やと)注)を埋め立てたところや盛土した開発物件が多くある。万一、売買の物件引渡後に、買主が、地中の障害物等を発見した場合、売主の契約不適合責任が買主の間での紛争が起こることや、宅建業者に地中埋設物の調査義務はないと思うが、当社の瑕疵の有無の調査不足等で、当社が、買主から責任追及されないか心配である。
 注)谷戸=丘陵地が浸食されて形成された谷状の地形。

質 問

1.  媒介業者が営業活動をする上で、売却の媒介依頼者から広告を依頼されれば、媒介業者は、広告費相当の報酬を受領しても問題ないか。
2.  売却の媒介依頼を受けている物件に、購入検討者を案内した場合、案内に要した実費を購入検討者から受領することはできるか。
3.  中古の一戸建住宅の敷地地盤の造成に不安がある場合、地盤調査費用を、当社が、売却の媒介依頼者に請求することができるか。

回 答

1.  結 論
 質問1.について ― 問題がある。通常の営業活動に要した広告費を受領することはできない。
 質問2.について ― 請求することはできない。
 質問3.について ― 売却依頼者が承諾していれば、調査費用を媒介依頼者に請求することができると考える。
2.  理 由
について
 宅建業者が、媒介行為で受領することのできる報酬の額は、国土交通省告示により、報酬額の上限額が定められ、報酬上限額を超える報酬の受領は禁止されている(宅地建物取引業法第46条)。不動産の媒介契約は、民法上の準委任契約であり、受任者が報酬を請求できる時期は、委任事務を履行した後であり(民法第648条第2項)、不動産の媒介契約においては、売買や賃貸借の契約を成立させることにより、委任事務の履行となると解されている。つまり、不動産の媒介により請求及び受領できる報酬は成功報酬であり、宅建業者は、売買や賃貸借の契約成立の後でなければ、依頼者から報酬の請求も受領することもできない。
 宅建業者は、売却の媒介依頼者からの依頼によって行う広告の広告料金相当の報酬を受けることは可能である(国土交通省告示第9、同省宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方第46条第1項関係)。しかしながら、依頼者からの依頼によって行う広告で、宅建業者が依頼者に報酬として請求できる広告料金相当額は、「広告掲載料等が報酬の範囲内でまかなうことが相当でない多額の費用を要する特別の広告の料金を意味するものと解すべき」とされている。「通常必要とされる程度の宣伝費用は、営業経費として報酬の範囲に含まれるとされ、依頼者からの依頼によって行う広告だとしても、広告料金相当額を請求することはできない」とされている(【参照判例】参照)。なお、依頼者が宣伝広告を頻繁に行ってほしいなどの要望が依頼者の依頼だとしても、通常行う宣伝広告の費用は宅建業者の営業経費に含むものであり、依頼者に請求することはできない。
について
 依頼者の依頼によらない宅建業者が行う広告の広告料金に相当する額を報酬として、当然、受領はすることはできないが、媒介業者が行う購入検討顧客の現地案内等、営業活動に要する費用も報酬の範囲内に含まれ、別途に報酬として受領することはできない(同法の解釈・運用の考え方第46条第1項関係)。多数の購入検討顧客を案内する、あるいは、同じ顧客を複数物件、複数回数、複数日に案内して経費がかさんだとしても、現地案内等の営業活動に要した費用として、受領することはできない。
について
 重要事項説明書を作成するための不動産調査費用は、営業経費として報酬の範囲に含まれるとされ、その調査に要する費用に相当する額を受領することは禁止されている(同上)が、媒介依頼の不動産が遠隔地であることにより、現地調査等の費用が、通常調査の費用を上回るときは、依頼者の特別の依頼により支出を要する特別の費用として、その負担について事前に依頼者の承諾があるものを別途受領することは可能である。
 また、売買する物件の土地の軟弱地盤や地中埋設物の存否に不安があるため、媒介業者が、売却の依頼者に対し、地盤等調査を依頼し、要した費用を依頼者に負担を求めること、依頼者の依頼によって媒介業者が調査し(媒介業者の依頼する専門業者を含む)、その要した費用を媒介業者が依頼者から受領することは、売却依頼者がその負担を事前に了解するのであれば、問題はない。そもそも、媒介業者が通常行う調査とは異なり、依頼者が、売買対象物件の状況を調査することで、売却物件の市場価値を判断する材料とするものである。
 しかしながら、通常の調査に要する費用であるか、特別の費用であるかの判断や依頼者の意思に基づく依頼が明確であるか否か等により、宅建業者と依頼者との間の争いになることも考えられ、宅建業者は、報酬額の上限を超える報酬を、受領する際は、慎重に行うべきである。

参照条文

 民法第648条(受任者の報酬)
   受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
   受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第624条第2項の規定を準用する。
   受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
     委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき。
     委任が履行の中途で終了したとき。
 宅地建物取引業法第46条(報酬)
   宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。
   宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。
  ・④ (略)
 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(昭和45年10月23日国土交通省告示第1552号)
  1~8 (略)
  9 第2から第8までの規定によらない報酬の受領の禁止
   宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関し、第2から第8までの規定によるほか、報酬を受けることができない。ただし、依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額については、この限りでない。
   (略)
 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方第46条第1項関係
  1  告示の運用について(昭和45年建設省告示第1552号関係)
    〜⑺ 略
     告示第9(告示第2から第8までの規定によらない報酬の受領の禁止)関係
       宅地建物取引業者は、告示第2から第8までの規定によるほかは依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額を除き報酬を受けることはできない。
 したがって、告示第2から第8までの規定による報酬及び依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額以外にいわゆる案内料、申込料や依頼者の依頼によらずに行う広告の料金に相当する額の報酬を受領することはできない。
       この規定には、宅地建物取引業者が依頼者の特別の依頼により行う遠隔地における現地調査等に要する費用に相当する額の金銭を依頼者から提供された場合にこれを受領すること等依頼者の特別の依頼により支出を要する特別の費用に相当する額の金銭で、その負担について事前に依頼者の承諾があるものを別途受領することまでも禁止する趣旨は含まれていない。
  2  (以下略)

参照判例

 東京高裁昭和57年9月28日 判時1058号70頁(要旨)
 本件告示第9(判例時は「告示第6」。以下同様)は「宅地建物取引業者は、宅地又は建物売買……の……媒介に関し、第1から第8までの規定によるほか、報酬を受けることができない。ただし、依頼者の申し入れによって行う広告の料金に相当する額については、この限りでない。」と規定している。一般に宅建業者が土地建物の売買の媒介にあたって通常必要とされる程度の広告宣伝費用は、営業経費として報酬の範囲に含まれているものと解されるから、本件告示第9が特に容認する広告の料金とは、大手新聞社への広告掲載料等報酬の範囲内でまかなうことが相当でない多額の費用を要する特別の広告の料金を意味するものと解すべきであり、また、本件告示第9が依頼者の依頼によって行う場合にだけ広告の料金に相当する額の金員の受領を許したのは、宅建業者が依頼者の依頼を受けないのに一方的に多額の費用を要する広告宣伝を行い、その費用の負担を依頼者に強要することを防止しようとしたものと解されるから、特に依頼者から広告を行うことの依頼があり、その費用の負担につき事前に依頼者の承諾があった場合又はこれと同視することのできるような事後において依頼者が広告を行ったこと及びその費用の負担につき全く異議なくこれを承諾した場合に限り、広告の料金に相当する額の金員を受領することができるものと解すべきである。

監修者のコメント

 宅建業法第46条は、強行規定であるから、回答において「受領できない」というものを、受領した場合は、それがたとえ依頼者からの発意であったり、依頼者の承諾があったとしても、宅建業法違反になることに変りはない。

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