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1812-R-0196
賃貸借契約の媒介時における手付金預りの問題点

 賃貸借契約の媒介において、申込金を手付金として預かっても問題ないか。このような場合の断り方として、どのような断り方が適当か。

事実関係

 当社は建物賃貸借契約の媒介において、現地案内後に借主から申込金を預かることがあるが、借主の中には早く契約をしたいということで、その申込金を手付金として預かって欲しいという申し入れをする人がいる。

質 問

1.  このような場合、当社はその申込金を手付金として預かっても問題ないか。
2.  このような申入れを断るには、どのような断り方が適当か。

回 答

1.  結 論
 質問1.について ― 問題がある。
 質問2.について ― 当社は媒介業者であり、当社には手付金を受領する権限がないという断り方が適当であろう。
2.  理 由
について
 貴社がその申込金を将来の手付金として預かるということであれば、その預かること自体には問題はないが、その場合に、貴社がその手付金を預かることによって、借主がその時点で契約が成立したと誤解する可能性があるので、貴社がどうしても預かるというのであれば、その場合には、その「預り証」に、たとえば「本件の預り金は賃貸借契約が成立した時の手付金として預かるものであり、その手付金は契約成立と同時に賃料の一部に振り替わるものとします。なお、その間に貴殿が本件申込みを撤回した場合には、預り金は無利息で返還します。」と付記しておくことが望ましい。そうすれば、借主の誤解による手付解除(民法第557条、第559条)の問題も生じないし、その申込みの撤回による預り金の返還拒否の問題も生じないと考えられるからである(宅地建物取引業法施行規則第16条の12第2号)。
について
 本件のような申入れに対しては、貴社としては、「当社は代理人ではなく、当社には手付金を受領する権限が授与されていませんので、当該金員は申込金としてお預かりします。したがって、そのうえで別途貴殿申込みに係る署名押印済の契約関係書類一式を貸主に送付し、それに対する貸主承諾に係る署名押印済の契約書の貴殿への交付をもって、本件賃貸借契約成立の証しとします。」という趣旨の回答をするという対応が望ましいといえよう(民法第526条第1項、宅地建物取引業法第37条)。

参照条文

 民法第526条(隔地者間の契約の成立時期)
 隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。
 (略)
 民法第557条(手付)
 買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。
 (略)
 民法第559条(有償契約への準用)
 この節の規定は、売買以外の有償契約について準用する。ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
 宅地建物取引業法第37条(書面の交付)
 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関し、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
~十二 (略)
、③ (略)
 同法施行規則第16条の12(法第47条の2第3項の国土交通省令・内閣府令及び同項 の国土交通省令で定める行為)
 法第47条の2第3項の国土交通省令・内閣府令及び同項の国土交通省令で定める行為は、次に掲げるものとする
 (略)
 宅地建物取引業者の相手方等が契約の申込みの撤回を行うに際し、既に受領した預り金を返還することを拒むこと。
 (略)

監修者のコメント

 その申込者を借主として良いという趣旨の貸主の承諾があって初めて賃貸借契約が成立する。したがって、貸主の承諾がない段階で「手付金」という概念が生ずることはない。手付金は、法理論としては売買等の契約に付随する「手付金契約」に基づくものと解されている。したがって、申込み段階で授受される手付金は、売買等の契約の成立を停止条件とする手付金契約によるものである。
 いずれにせよ、回答にあるとおり、その申込者が「この物件を借りることができた」と認識させることのないような説明が大切である。

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