HOME > 不動産相談 > 売買 > 競売の開始決定や仮差押えの登記がなされている物件の売却

不動産相談

== 更に詳しい相談を希望される方は、当センター認定の全国の資格保有者へ ==

 

ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
掲載にあたっては、プライバシーの保護のため、相談者等の氏名・企業名はすべて匿名にしてあります。
また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

1808-B-0247
競売の開始決定や仮差押えの登記がなされている物件の売却

 抵当権の登記がたくさんなされていたり、競売の開始決定がなされている物件を売却する場合の注意点は何か。競売の開始決定がなされている物件について、更に競売の開始決定がなされることはあるか。
 仮差押えや仮処分の登記がなされている物件は、売却することができるか。売買契約が締結された後に、仮差押えや仮処分の登記がなされたときは、媒介業者としてどうしたらよいか。

事実関係

 当社は不動産の媒介業者であるが、取引する物件の中には、抵当権がたくさん付いていたり、競売の開始決定がなされている物件もあるため、もし取引している最中に新たな競売の申立てがなされたり、仮差押えなどの登記がなされたら、媒介業者としてどうしてよいかわからなくなる。
 ついては、そのような場合に備えて、あらかじめ必要な知識を身に付けておきたい。

質 問

1.  抵当権がたくさん付いている物件や、競売の開始決定がなされている物件を任意で売却する場合の注意点は何か。
2.  すでに競売の開始決定がなされている物件について、更に競売の開始決定がなされることはあるか。もしあるとした場合、手続はどうなるのか。その場合、媒介業者としてはどのように対応したらよいか。
3.  仮差押えや仮処分の登記がなされている物件は、売却することができるのか。売買契約が締結された後に、仮差押えや仮処分がなされたときは、媒介業者としてどのように対応したらよいか。

回 答

 一般的な注意事項としては、①抵当権がたくさん付いている物件については、それぞれの抵当権ごとの残債務の額とそれ以外の債務(たとえば、無担保の債務や手形・小切手債務など)の存在を確認することであり、②競売の開始決定がなされている物件については、その物件が賃貸用の物件である場合には、競売の申立権者(たとえば、抵当権者)に対抗できる入居者がいるのかどうか、もしいる場合には入居者付で売却するのか、それとも入居者の明渡しを条件に売却するのかなどを見極めることであるが、これらの点については、抵当権がたくさん付いている物件の場合でも、同じである。
 すでに競売の開始決定がなされている物件について、更に競売の申立てがなされた場合には、裁判所は、更に競売の開始決定をする(民事執行法第47条第1項)。これを「二重開始決定」というが、手続としては、先行している手続が進行している場合には、後行の手続は進行せず、先行している手続に沿って配当などの手続が行われる(同法同条第2項)。したがって、媒介業者としては、そのような二重の申立てがなされても、特別な対応は必要ない。
 仮差押えや仮処分の登記がなされている物件であっても、それを承知のうえで購入する買主がいるのであれば、法的には売却は可能である。
 しかし、そのような買主の存在は稀なので、通常はそれらの登記がなされた原因となっている未払債務の弁済やトラブルを解決したうえで売買するか、あるいはそれらの債務の弁済やトラブルの解決を条件に売買するのが普通である。なぜならば、いずれの場合も、特別なケースを除き、それらの債務の弁済やトラブルを解決するために必要な金銭(解放金)を供託することにより、仮差押えや仮処分の登記を抹消することは可能であるから(民事保全法第22条、第25条)、事案によっては、買主が支払う売買代金の一部によって、それらの解放金を供託することができると考えられるからである。
 なお、このことは、売買契約締結後に仮差押えや仮処分の登記がなされた場合であっても同じように考えることができるので、媒介業者としては、そのことを十分理解したうえで、必要に応じ、売主(債務者)に協力し、取引の完結に向けて努力をすべきであろう。

参照条文

 民事執行法第47条(二重開始決定)
 強制競売又は担保権の実行としての競売(以下この節において「競売」という。)の開始決定がされた不動産について強制競売の申立てがあったときは、執行裁判所は、更に強制競売の開始決定をするものとする。
   先の開始決定に係る強制競売若しくは競売の申立てが取り下げられたとき、又は先の開始決定に係る強制競売若しくは競売の手続が取り消されたときは、執行裁判所は、後の強制競売の開始決定に基づいて手続を続行しなければならない。
  ~⑦ (略)
 同法第188条(不動産執行の規定の準用)
 第44条の規定は不動産担保権の実行について、前章第2節第1款第2目(第81条を除く。)の規定は担保不動産競売について、同款第3目の規定は担保不動産収益執行について準用する。
 民事保全法第22条(仮差押解放金)
 仮差押命令においては、仮差押えの執行の停止を得るため、又は既にした仮差押えの執行の取消しを得るために債務者が供託すべき金銭の額を定めなければならない。
   前項の金銭の供託は、仮差押命令を発した裁判所又は保全執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。
 同法第25条(仮処分解放金)
 裁判所は、保全すべき権利が金銭の支払を受けることをもってその行使の目的を達することができるものであるときに限り、債権者の意見を聴いて、仮処分の執行の停止を得るため、又は既にした仮処分の執行の取消しを得るために債務者が供託すべき金銭の額を仮処分命令において定めることができる。
   第22条第2項(管轄供託所)の規定は、前項の金銭の供託について準用する。

監修者のコメント

 競売の開始決定の登記や仮差押、仮処分の登記がなされたのちに行われた売買や賃貸借は、それらの手続との関係において対抗することができない。すなわち、所有権や賃借権を取得することはするが、その後に生ずる競売の買受人(いわゆる「競落人」)や執行手続に基づく取得者に対抗できず、物件を明け渡さなければならない。実務上、稀に媒介業者がこれらの登記を見落して成約させ、買主や賃借人に対して多額の損害賠償責任を負わされるケースもあるので、契約直前における登記簿の閲覧は必須の作業である。
 また、事実を説明すれば足りるだろうと「競売開始決定の登記がなされています」とだけ説明するのは、説明を受ける者の職業等に基づく法的知識の関係もあるが、一般的にはそのような説明だけでは媒介業者の告知・説明義務として不十分であって、その登記によってどういうことになるのかという、法的効果の説明が必要と考えて仕事を進めるのが適切である。

当センターでは、不動産取引に関するご相談を
電話にて無料で受け付けています。

専用電話:03-5843-20819:30〜16:00(土日祝、年末年始 除く)

相談内容:不動産取引に関する相談(消費者、不動産業者等のご相談に応じます)

更に詳しい相談を希望される方は、
当センター認定の全国の資格保有者へ

 

過去の事例(年別)

  • 賃貸
  • 売買

ページトップへ