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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

賃貸事例 1608-R-0162
建物賃貸借契約における残置物の円満処分の方法とその法的根拠

 建物賃貸借契約において、明渡し時の残置物について、後日トラブルが生じないように事前に借主と合意書を取り交わしているが、それでもトラブルが生じることがある。トラブルが生じないようにする方法はあるか。 
 借主が夜逃げ等で行方不明になった場合に、やむを得ず残置物の処分をすることがあるが、その処分が合法的であるとされるための状況とその場合の法的根拠は何か。

事実関係

 当社は賃貸借の媒介・管理業者であるが、当社が媒介・管理する賃貸借物件については、必ず事前に借主との間で、残置物についての処分に関する合意書を取り交わすことにしている。にもかかわらず、建物の明渡し後になって、残置物の処分についてトラブルが生じることがある。その多くは残置物の処分代金に関するトラブルであるが、中には処分した物や処分の方法についてのトラブルもある。

質 問

1.  このようなトラブルを防止するためには、どのような方法があるか。
2.  当社は、借主が夜逃げをしたりして、最終的に所有権を放棄した残置物であるか否かの確認がとれない場合には、やむを得ず連帯保証人にその旨を通知したうえで、貸主の了解を得て、残置物を処分することがあるが、このような処分は法的に合法的な処分といえるか。いえるとした場合の状況とその場合の法的根拠は何か。

回 答

 質問1.について ― 建物賃貸借契約締結時に取り交わす合意書の締結にあたり、連帯保証人にも残置物の処分に伴う借主の債務の保証をしてもらうとともに、その合意書の文面内容として、借主が明渡し時に室内に物品を残置したときは、その所有権を放棄したものとし、かつ、その処分費用を負担することについて、処分方法も含め貸主に対し何らの異議を申し出ないことを確約する旨を定め、更に、実際の明渡し時には、再度事前にその残置物リストを作成し貸主に提出すること、および万一そのリストの提出がなくても、実際に残置された物については所有権を放棄したものなので、貸主側でいかなる処分をしても異議がない旨を確約させることであろう。
 質問2.について ― まだ十分使えるような生活用品や衣類など一式が残置されている場合には、一般論として、その貸主側の処分は合法的な処分とはいえない。したがって、そのような場合には強制執行等の所定の法的手続を経て処分することになる。
 しかし、貸主側が上記質問1.にあるような状況の中で回答⑴のような対応をしており、かつ、その残置物が本人にとっては多少の利用価値はあるにしても、第三者にとってはいわゆるガラクタといってもよいような物ばかりが残されているのであれば、その事前の所有権放棄条項や処分承諾条項が、むしろ借主から貸主への残置物処分委託条項としての準委任(民法第656条)を構成するものとして、貸主がその処分費用の償還請求権を有する(敷金から差し引くことができる)ものと解することができるからである(民法第650条)。

参照条文

 民法第650条(受任者による費用等の償還請求等)
 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。
 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる。
 受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。
 同法第656条(準委任)
この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。

監修者のコメント

 賃貸借終了後の残置物処分についてのトラブルを未然に防止するためには、回答にあるとおりの措置を採っておくことが適切であり、このような方法を採る合意が、「自力救済の禁止」に当たるとか、「不法行為」になるとして貸主が敗訴したという事例は、知る限りではない。
 なお、借主の連帯保証人は解約の意思表示の受領権限は、特約がない限りないが、契約終了後の原状回復義務については保証責任が及ぶと解されている(判例)。
 また、しばしば特約において、「貸主が行った残置物の処分の費用は、借主が負担する」とされていることが多いが、ノーマルに契約が終了した場合は別として、通常は借主から回収できないのが実態であり、そう覚悟しておいたほうがよい。

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