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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

賃貸事例 0908-R-0066
借地契約の合意解約の場合の建物買取請求権の行方

 土地の賃貸借契約において、賃借人の方から契約の更新を断った場合、建物買取請求権はどうなるか。

事実関係
 
旧借地法時代に締結された土地賃貸借契約において、賃貸人は契約の更新をしてもよいと言っているのに、賃借人が契約を終了させたいと言っている。
 
質問
 このようなケースにおいても、賃借人は建物の買取請求権を行使することができるのだろうか。
 
回答
1.結論
   契約を終了させるに当たり、当事者間の合意で、賃借人の建物買取請求権を留保した場合には行使することができるが、留保していない場合には行使することはできないと考えられる(大判昭和14年2月6日新聞4386号16頁、最判昭和29年6月11日判タ41号31頁)。
 
2. 理由
  (1)  賃借人の建物買取請求権の行使に関する規定は、新法・旧法とも、「契約の更新がないとき(場合)」に行使することができると定められており(新法は第13条第1項、旧法は第4条第2項)、いずれの規定もその解釈に基本的な差異はないとされている。すなわち、本条の規定が適用される一般的なケースとしては、賃借人が更新の請求をしたが、賃貸人がこれを拒絶し、これに「正当の事由」があると認められるケースの場合であるが、このような場合は、賃借人が更新請求権を行使せずに、直ちに買取り請求をすることも可能であると解されている。
(2)  しかし、本件の場合は、賃貸人からの更新の拒絶といった事実はなく、むしろ賃借人からの事情で賃貸借契約を終了させるということであるから、このような場合に通常考えられるケースがあるとすれば、「合意解約」というかたちで賃貸借契約を終了させるケースであろう。
 となると、【回答】の結論で述べたとおり、そのような「合意解約」による賃借権の消滅に関する多くの旧法下での判例が、「借地権者が地上建物の運命まで顧慮したうえで合意をしたと考えられるから、特に建物買取りに関する合意が存在しない限り、買取請求権の放棄・建物の収去が前提とされていると解すべきである」としている点を判断の拠り所とせざるを得ないであろう。
 
参照条文
 
借地借家法第13条(建物買取請求権)
(1) 借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
(2)〜(3)(略)
 
○ 借地法第4条(更新の請求、建物等の買取請求権)
(1) (略)
(2)  借地権者ハ契約ノ更新ナキ場合ニ於テハ時価ヲ以テ建物其ノ他借地権者カ権原ニ因リテ土地ニ附属セシメタル物ヲ買取ルヘキコトヲ請求スルコトヲ得
(3) (略)
 
○ 附則第4条(経過措置の原則)

 この法律の規定は、この附則に特別の定めがある場合を除き、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、附則第2条の規定による廃止前の建物保護に関する法律、借地法及び借家法の規定により生じた効力を妨げない。
 
監修者のコメント
 
 旧借地法あるいは新借地借家法で借地人に建物買取請求権を認めたのは、更新を望む借地人の立場を考慮し、事実上、地主に対し、更新をしなければ建物を買い取らざるを得ないという選択を迫ったものである。
 したがって、具体的なケースにおける「合意解約」が実質的にみて貸主の強要であるような場合は別として、事実、借主から更新を拒否したという場合は回答のとおり、建物買取請求権は生じないと解してよいと思われる。
 なお、建物買取請求権の行使が法的に可能なケースでも、そのことが問題となるのは、借地契約の満了という比較的長期間経過後のことであるので、ほとんどの事例では、貸主に多くの負担となるほどの金額(代金)にならないと考えて差し支えない。

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