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賃貸事例 0708-R-0014
無断転貸による貸主からの建物の明渡しの直接請求の可否

建物の無断転貸があったときは、貸主は、契約を解除しないまま、転借人に対し、直接建物の明渡しを請求することができるか。

事実関係
   当社は、2年前に店舗の賃貸借の媒介をした。ところが、その借主は店舗を貸主に無断で転貸し、差益を得ていたことが貸主にわかってしまい、何とか契約が解除されないように貸主にとりなして欲しいと言ってきた。
 当社としても、あまりうかつなことは言えないので、とりあえず帰ってもらったが、貸主と交渉するにしても、あらかじめ次のことを知っておきたい。
 
質問
 
1. 貸主は、借主の無断転貸という事実だけで賃貸借契約を解除することができるのか。
2. 貸主は、借主との賃貸借契約を解除しないまま、直接転借人に対し建物の明渡しを請求することができるのか。
3. そもそも、無断転貸による契約(転貸借契約)は有効なのか。
 
回答
 
(1)  質問1.について
転借人が使用を開始したときに、原則として、解除することができる(民法第612条)。ただし、その転貸が貸主に対する「背信行為(注)」であると認めるに足りない特段の事情があるときは、解除することができない(最判昭和28年9月25日民集7巻979頁ほか)。したがって、本件の場合は、その転貸差益(賃料と転貸料の差額、借主が差し入れている保証金・敷金と転借人が差し入れている保証金・敷金の差額)いかんによって、「背信行為」か否かが判断されるものと考えられる。
(注) 「背信行為」と認めるに足りない特段の事情がある場合として、次のような形態をあげることができるが、そのほかにも、たとえば、その転貸について貸主が黙示の承諾を与えていたような場合には、解除が認められないこともあると考えられる。
 
<1>  個人営業をしていた借主が、税金対策などのために企業組織にし、形式的に法人になったため、賃借権の無断譲渡があった結果となったが、実質的には従前と変わっていない場合(最3判昭和38年10月15日民集17巻9号1202頁ほか)
<2>  譲渡・転貸の当事者が親族などの特殊な関係にあって、営利性がない場合(最1判昭和29年10月7日民集8巻10号1816頁ほか)
<3>  義務違反が軽く、営利性が弱い場合 — たとえば、転貸の対象部分が不動産の一部分であったり、転貸が一時的なものであった場合(最1判昭和27年11月6日民集6巻10号963頁ほか)
(2)  質問2.について
貸主は、賃貸借契約を解除しなくても、転借人に対し直接建物の明渡しを請求することができる(最判昭和26年5月31日民集5巻6号359頁)。ただし、その転貸が貸主に対する「背信行為」であると認めるに足りない特段の事情があるときは、貸主は明渡しを請求することはできない(最2判昭和36年4月28日民集15巻4号1211頁ほか)。
(3)  質問3.について
無断転貸であっても、その転貸借契約は有効である。したがって、無断転貸をした転貸人は転借人に対しみずからその無効を主張できないし、遅滞なく賃貸人の承諾を取り付ける義務がある(最1判昭和34年9月17日民集13巻11号1412頁)。
 
参照条文
 
○ 民法第612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
(1)  賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
(2)  賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の借用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。
 
監修者のコメント
 【回答】にあるような「特段の事情」がない、一般的な無断転貸は、賃貸借の解除原因となるが、転貸の契約が締結されただけでは解除ができず、その結果、転借人が当該目的物の使用を開始して初めて解除できることになるので注意されたい。

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