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売買事例 1310-B-0171
中古マンションの売買における鍵の紛失と物件の引渡し

 中古マンションの売買の媒介で、売主が5本ある鍵のうち1本を紛失したので、付帯設備表に「鍵-有-4本」と記載し、鍵は4本である旨を説明したうえで売買契約を成立させた。ところが、決済・引渡しの段階で、買主が、「鍵が4本では引渡しは受けられない。」と言ってきた。
 当社は、鍵が4本であることは事前に説明しているので、「スペアキー」をつくる方向で解決をしたいと考えているが、この考え方は正しいか。

事実関係

 当社は、不動産の売買を中心に行っている媒介業者であるが、先日媒介した中古マンションの売買で、重要事項説明書の作成前のヒヤリングで、売主が、「物件を賃貸に出していた際に、借主が鍵を1本紛失したので、4本しかない。」と言ってきたので、当社は、物件の付帯設備表の中に、「鍵-有-4本」と書き、重要事項 説明の際に鍵は4本である旨の説明をし、売買契約を成立させた。
 ところが、決済・引渡しの段階になって、買主が、ある機関と相談したらしく、「鍵が4本では引渡しは受けられない。」と言ってきた。

質問

  •  当社としては、重要事項説明の段階で鍵は4本である旨の説明をしているので、今更そのような申し出をされても困るということで、決済・引渡しは予定どおり行うべきだと考えているが、その考え方は正しいか。
  •  本件の決済・引渡しに立会う某資格士も、「このようなケースの場合は、物件が中古なので、現状有姿売買ということで、そのまま決済・引渡しは行うべきだ」と言っているが、その考え方は正しいか。
  •  本件のトラブルの解決策として、当社は、「スペアキー」を1本つくる方向で解決を図りたいと考えているが、その考え方は正しいか。

回答

1.   結 論
 質問1.について ― 正しくない。
 質問2.について ― 正しくない。
 質問3.について ― 正しくない。
2.   理 由
~⑶について
 貴社が、付帯設備表の説明をする際に、買主に対し、「本来5本ある鍵が1本紛失し、4本しかない。ついては、その4本を交付することにより物件の引渡しをすることになるが、それでもよいか。」と説明し、買主がその意味を理解し、同意をしたのであればともかく、そうでなければ、鍵を4本交付したからといって、物件の引渡しをしたことにはならない。なぜならば、建物付の不動産売買における「物件の引渡し」というのは、建物の鍵を買主に交付することにより行うものであるから、その鍵が完全な形で交付されない以上、完全な引渡しとはいえないからである。すなわち、本件の場合は、本来鍵は5本あるのであるから、5本なければ、その債務の履行(物件の引渡し)は完全な履行とはいえず、一種の債務不履行(不完全履行)になるからである(民法第415条)。したがって、本問1、2における貴社および某資格士の考え方は、いずれも正しいとはいえず、その結果、貴社が提案しようとしている「スペアキー」の作成についても、正しい解決方法とはいえない。
 なお、本来建物の鍵は、その土地建物を購入した買主の身体、生命、財産を守る重要な物品であるから、そのような貴重品を紛失したにもかかわらず、「スペア」で対応すればよいなどと考えるのは、事案の重要性を全く理解していない対応といわざるを得ず、ましてや、本件の取引が、「現状有姿売買だから、鍵が1本なくてもよい」という考え方がどこから出てくるのか、理解に苦しむところである。
 したがって、本件の解決にあたっては、本物件には「隠れた瑕疵」があり、その瑕疵が契約時に発見されたのだという認識のもとに、売主が自らの費用で「錠」そのものを交換し、新しい5本の鍵でもって物件を引渡すというのが正しいやり方である。

参照条文

民法第415条(債務不履行による損害賠償)
 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者はこれによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。
民法第570条(売主の瑕疵担保責任)
 売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。
民法第566条(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的が達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
、③ (略)

監修者のコメント

 本ケースの媒介業務における問題点は、鍵が何本か、ではなく、売主から鍵の一部を紛失していることを知らされたにもかかわらず、その事実を買主に告げないまま売買契約を成立させたことである。
 対応としては、まさしく回答のとおりであって、鍵そのものを売主の費用負担で交換すべきであって、もし契約時に売主に交換の必要はない旨を説明していたのであれば、媒介業者の費用負担で交換をすることが適切である。

より詳しく学ぶための関連リンク

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