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公益財団法人 不動産流通推進センター認定資格

2016年9月28日 大手設計コンサルタントから学ぶ有効活用と街づくりの最新事情

9月28日、(公財)不動産流通推進センターは、公認不動産コンサルティングマスター 不動産有効活用専門士の方々を主な対象とした「特別勉強会」を開催しました。
当センターでは、「公認不動産コンサルティングマスター」を対象に3日間の集中講義を実施し、これを受講の上修了試験に合格した方を「不動産有効活用専門士」と認定しています。
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通常の勉強会では、会場に講師を招き、専門的な講義(ゼミ形式など)を行っていただくのですが、今回は初めての試みとして、工事現場の見学が組み込まれました。相続対策専門士の方も含め、44名が参加されました。

勉強会のテーマは、「大手設計コンサルタントから学ぶ 有効活用と街づくりの最新事情」。東京の市谷と渋谷で行われている現在進行中の大規模再開発について、実際にプロジェクトにかかわっている方々に講師をお願いし、未来を見据えた計画の考え方やそれを実現するための様々な工夫について講義していただき、その一端を体感していただくために、渋谷駅地下の工事現場の一部を見学する時間を設けました。

 

◆工場は地下へ、地上は森に

午前の第1部は「街づくり最新事情を学ぶ」と題し、東京・新宿区市谷の大手印刷会社の工場の再開発に携わる(株)久米設計の倉田充氏(都市開発ソリューション部副部長)と上田克行氏(建築設計部統括部長)にお話しいただきました。

再開発の目的は、大規模工場の機能を更新するとともに、企画開発、営業の各部門及び本社機能などを集約するというものです。計画の敷地面積は約54,000㎡ですが、この地区は容積率300%、建蔽率60%、高度地区(30m)という制限があり、そのままでは十分な床が確保できません。そこで、区とも相談しながら、地区計画を定めることで計画を進めることになりました。まず、新宿区都市マスタープランに位置付けられ、これに基づき、再開発の目標が地区計画に落とし込まれます。その目標は、「大規模工場の機能更新に伴う土地の高度利用に合わせて、道路の整備や周辺住環境と調和した緑豊かなオープンスペースの確保を進め、良好な市街地環境を形成すること」。

計画では、2ヶ所の提供公園のほか、文化施設、体育施設も整備、また、工場機能を地下に配置するとともに、業務機能を集約・高度利用することにより広大な空地を創出し、これを約20,000㎡の「森」として整備することとしています。こうした地域貢献により、業務機能を集約する地区については容積率480%、高さの最高限度114mに緩和されました。

樹木の生育のために土の厚さを確保しつつ地下の構造物(工場)にかかる荷重を押さえるために嵩上げ材を使用。また、地下工場にできるだけ自然光を取り入れるため光の反射や屈折などを利用したトップライトやアトリウム(吹き抜け)、ドライエリア(空掘り)の工夫などが説明されました。

 

◆ヒカリエ整備が渋谷駅周辺再開発のトリガー

午後の第2部は、「渋谷駅周辺地区 再開発の全貌を知る・見る・触れる」と題し、東京・渋谷駅周辺の再開発について、講義及び現場見学が行われました。

(株)東急設計コンサルタントの大場雅仁氏(事業コンサルティング本部副本部長)の講義では、渋谷駅周辺で行われている複数の再開発について、世界の都市間競争における東京のポジション、東京における地域間競争の中での渋谷の持つ都市的課題などから説き起こされました。その課題解決のエポックとなったのが、平成17(2005)年に渋谷駅周辺が都市再生緊急整備地域に指定されたことだといいます。これを受け、複数の再開発プロジェクトが具体的に動き始めるのですが、そのトリガーとなったのが、渋谷ヒカリエ地区の再開発(2014年開業)でした。

ヒカリエは、しばらく低未利用地となっていた東急文化会館跡地と後背部の老朽化した中小雑居ビルの敷地を施行地区とする敷地整序型土地区画整理事業と都市再生特別地区(特区)によって建設されました。建物計画における各種の公共貢献が都市再生に資するとされて、1370%の容積率を得ており(基準容積815%+割増容積555%)、渋谷ヒカリエは高さ182.5mの高層建築となっています。

 

◆渋谷駅東口側の地下空間へ

続いて、渋谷駅街区土地区画整理事業の概要の説明を受けた後、地下の工事現場の見学を行いました。
まず入ったのは、完成時には広さ約1,600㎡の渋谷駅東口地下広場となる場所です。渋谷駅の東口側地下には渋谷川があり、そのままでは広場のスペースを確保することができないため、160mにわたって渋谷川の流路を変更する工事を行いました。見学した広場の天井の一部は下がり天井のようになっているのですが、それが移設された渋谷川の流路でした(地下広場の天井を川が流れている!)。

次に見学したのは地下25mにある広大な雨水貯留槽。ゲリラ豪雨などの際にあふれた雨水を最大約4,000トン貯留しておくことができるとのことです。

現場見学の後いったん会場に戻り、渋谷ヒカリエの運営担当者から公共貢献施設がある8階フロアの説明を受けた後、自由に施設を見学し、特別勉強会は終了となりました。

通常の建築現場は見慣れていても、今回のような工事現場はなかなか見る機会がないと思われます。仮設階段の上り下りを含め30分程度の見学でしたが、興味深い講義内容と相まって、専門士の方々にとって貴重な体験になったのではないでしょうか。

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