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掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
掲載にあたっては、プライバシーの保護のため、相談者等の氏名・企業名はすべて匿名にしてあります。
また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

1706-B-0231
マンションの区分所有者専用排水管(枝管)の帰属

 瑕疵担保責任期間内に、排水管の枝管から漏水があった。買主は、売主に修理を請求しているが、売主は管理組合が修理すべきと主張している。排水管の枝管は、専有部分と共用部分のどちらなのか確認したい。

事実関係

 当社は宅建業者で、築20年のマンションの売買仲介をした。マンションの引渡しから2か月後、買主から、買主住戸の床下と階下の天井との間に配管されている、排水管本管につながる専用排水管(いわゆる枝管)に亀裂が生じて水漏れが発生し、若干ではあるが、階下の住戸に排水が及んだとの連絡を受けた。
 このマンションは、売主・買主ともに個人で、売買契約書では、売主の瑕疵担保責任期間を3か月としている。買主は、契約書に明記されている給排水管の故障であるので、売主に対して3か月の瑕疵担保期間内なので修理してほしいと要求してきた。
 当社は、排水管本管は共用部分であることは間違いないと思っているが、マンションの各住戸の枝管は、専有部分と共用部分のどちらになるのか判断がつかない。

質 問

1.  本事例のように、マンション1室を所有している区分所有者の専有部分の床下に配管されている排水管に故障があったときに、共用部分として、管理組合の負担で修繕すると考えてもいいか。
2.  水道本管から各住戸のメーター、室内の水道蛇口に至るまでの給水管についても、共用部分となるか。

回 答

1.  結 論
 質問1.について ― 基本的に、床下の排水管の枝管は共用部分と解釈してよいが、必ずしも枝管すべてが共用部分とは限らない。
 質問2.について ― 規約に特別な定めがない限り、給水管については、各住戸のメーターから先に引かれた枝管は専有部分であると解される。
2.  理 由
⑵について
 マンション等の区分建物にある配線や配管は、建物と一体である建物の附属物であるが、その附属物は専有部分に属するものと共用部分に属するものがある(区分所有法第2条)。しかし、建物の個々の附属物が、専有部分と共用部分のどちらになるかは必ずしも明確ではない。
 国土交通省は、管理組合の管理規約作成の参考として示しているマンション標準管理規約(単棟型)で、共用部分を例示している(同規約8条別表第2)。排水管については、「配管継手及び立て管」は「建物の附属物」(共用部分)としており、枝管は共用部分に含まれていない。
 しかし、学説では、主管は共用部分であるが枝管は専有部分、枝管でも専有部分外にあるときは共用部分、枝管も共用部分、との3つの異なる考え方がある。
 判例では、階下の天井裏と住戸床コンクリートの間を共用部分と認めた上で、そこに存する枝管を共用部分に当たるとした(【参照判例】参照)が、これは裁判事案のケースの判示であり、実際は構造及び設置場所により異なるもので、枝管一般が共用部分であるとまでは、断定していない。
 枝管が専有部分と共用部分のどちらであるかは、具体的な状況を考慮したうえで判断される。判断要素としては、排水管の設置場所、機能、清掃・修理等の管理方法、主管との関連等が挙げられる。
 排水管に不具合があったときは、管理規約等により専有部分か共用部分かの管理区分を確認することにより、修理・負担の主体が決まってくる。なお、管理するものが不明の場合でも、建物に瑕疵があり他人に損害を生じたときは、共用部分である推定がなされ(同法第9条)、管理組合として修理・負担することになる。
 相談のケースの枝管は、天井裏と住戸床コンクリートとの間にあり、共用部分と解される。したがって、故障した枝管は、管理組合の責任と負担で(同規約第21条)修理することが妥当であろう。
 なお、枝管が状況により専有部分であるとされるときでも、共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分である主管と一体で、管理組合が管理することは可能である(同規約第21条②項)。
 また、給水管については同規約別表第2で「本管から各住戸メーターを含む部分」を「建物の附属物」(共用部分)と明示している。メーターの先から水道蛇口までは専有部分とされるが、管理を管理組合が行うことは、上記と同様であると解される。

参照条文

 建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)第2条(定義)
 この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第4条第2項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。
 (略)
 この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。
 この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第4条第2項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。
・⑥ (略)
 同法第9条(建物の設置又は保存の瑕疵に関する推定)
 建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する。
 マンション標準管理規約(単棟型)第8条(共用部分の範囲)
 対象物件のうち共用部分の範囲は、別表第2に掲げるとおりとする。
 同規約第21条(敷地及び共用部分等の管理)
 敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。ただし、バルコニー等の管理のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。
 専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。
 同規約 別表第2(共用部分の範囲)
1  エントランスホール、廊下、階段、エレベーターホール、エレベーター室、共用トイレ、屋上、屋根、塔屋、ポンプ室、自家用電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプスペース、メーターボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く。)、内外壁、界壁、床スラブ、床、天井、柱、基礎部分、バルコニー等専有部分に属さない「建物の部分」
2  エレベーター設備、電気設備、給水設備、排水設備、消防・防災設備、インターネット通信設備、テレビ共同受信設備、オートロック設備、宅配ボックス、避雷設備、集合郵便受箱、各種の配線配管(給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については、配管継手及び立て管)等専有部分に属さない「建物の附属物」
3  (略)

参照判例

 最高裁平成12年3月21日判 判時1715号179頁(要旨)
 本件排水管は、その構造及び設置場所に照らし、建物の区分所有等に関する法律第2条4項にいう専有部分に属しない建物の附属物に当たり、かつ、区分所有者全員の共用部分に当たると解するのが相当である。

監修者のコメント

 このようなケースは、裁判にまではならないまでも、かなりある。まずは、当該マンションの管理規約ではどうなっているかが、最も優先される判断基準であるが、それに関する定めがなければ、回答のような対応でよいと思われる。
 ただ、媒介業者としては、媒介業者が判断する問題ではないので、管理組合への照会あるいは専門家に対する照会を要請することも必要である。

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