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掲載にあたっては、プライバシーの保護のため、相談者等の氏名・企業名はすべて匿名にしてあります。
また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

売買事例 1704-B-0228
借地権付建物売買における土地の瑕疵担保責任は売主にあるか

 借地権付建物の売買契約の媒介をしたが、引渡し後、買主が、地中に埋設物があるのを発見した。買主は、近く、建物を建て替えする予定である。このままでは建築に支障があるので、取り除いてほしいが、請求は誰にしたらいいのか。

事実関係

 当社は不動産の媒介業者である。借地権付建物の売買契約の媒介をして、3か月前に引渡を完了した。売主は、28年前に地主である土地の賃貸人と借地契約を結び、建物を建築して住んでいたが、定年を機に出身地へいわゆるUターンするために、借地権付建物を売却した。地主は、多くの貸地を保有し、借地権売買には理解を持ち、この度の借地権売買についても承諾している。買主は、近隣の賃貸マンションに住んでいたが、手狭になり、一戸建てを検討しており、土地または既存住宅を探していた。借地権付建物は、所有権土地に比べて、価格が手ごろであり、当面は、購入した建物に住み、2年後に建物を新築する予定で購入を決めた。地主も、買主が、建物を建替えることを承諾している。
 買主は2年後に購入した住宅より一回り大きい規模の建物を新築する予定であり、住宅メーカーが地盤を調査したところ、地中に、売主の前所有者の解体された建物の基礎のコンクリート片と思われる埋設物があることが判明した。購入した建物は、規模も大きくなかったので、売主が新築した当時は、建築には支障がなかったようである。
 住宅メーカーによると、買主が予定している建物の建築の際には、地中埋設物を除去する必要があると言っている。なお、借地権付建物契約の瑕疵担保責任期間内である。

質 問

1.  借地権付建物の売買契約において、土地の欠陥に関する瑕疵担保責任が、売主にあるのか。
2.  借地権付建物の買主は、建物新築のときには、土地の埋設物の除去を要求しているが、請求は地主である土地の賃貸人にするのか、借地権付建物の売主にするのか。

回 答

1.  結 論
 質問1.について ― 借地権付建物売買の目的物は、建物と借地権という賃借権であり、土地そのものではないため、売主に、土地の瑕疵の責任はないと解されており、売主は責任を負わない。
 質問2.について ― 土地の賃貸人は、賃貸物を賃借人に使用・収益させる義務があり、土地の賃借人となる買主が、売買の瑕疵担保責任とは切り離して、土地賃貸借契約に基づき、賃貸人に土地の埋設物の除去を請求することになる。
2.  理 由
について
 土地の賃借人は、賃貸人の承諾があれば、借地権である土地の賃借権を第三者に譲渡することができ(同法第612条第1項)、賃借権の譲受人は、賃借人の地位を引き継ぐことになる。土地賃借人が建物を所有している場合、いわゆる借地権付建物売買として、建物と賃借権を同時に売却することになる。
 借地権付建物売買において、建物に瑕疵があれば、当然、売主が瑕疵担保責任を負うことになり、損害賠償の請求又は契約の目的を達することができないときは、契約の解除が可能である(民法第566条、第570条)。
 土地に欠陥があった場合に瑕疵担保責任がどうなるかであるが、借地権付建物売買の目的物は、建物と土地の賃借権であり、土地そのものは売買の目的物ではなく、借地権付建物契約においては、土地は、瑕疵の範囲から除かれており、土地の瑕疵補修についての請求はできないと解するのが最高裁判例である(【参照判例】参照)。ただし、敷地の面積の不足、敷地に関する法的規制又は賃貸借契約における使用方法の制限等の客観的事由によって賃借権が制約を受けて売買の目的を達することができないときは、賃借権に瑕疵があると解する余地があるとされている。この場合には、買主は売主に対し、瑕疵担保責任を追及することができると考えられる。
について
 借地権付建物売買契約において、土地に欠陥があったときは、誰に補修を請求するかであるが、売買契約により、土地の賃貸人と、借地権を譲り受けた買主が賃借人として、法律的な当事者となり、賃貸人は、賃借人に対し、賃貸物を適切に使用・収益させる義務が生じ(同法第601条)、さらに、賃貸人は、賃貸物が賃借人の使用目的に支障があれば、使用・収益に必要な修繕をしなければならない義務がある(同法第606条)。
 したがって、相談ケースの場合、借地権付建物売買契約とは切り離し、買主は、土地の賃貸人に対して、土地の欠陥の修繕を請求することになる。

参照条文

 民法第566条(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
・③ (略)
 同法第569条(債権の売主の担保責任)
 債権の売主が債務者の資力を担保したときは、契約の時における資力を担保したものと推定する。
   弁済期に至らない債権の売主が債務者の将来の資力を担保したときは、弁済期における資力を担保したものと推定する。
 同法第570条(売主の瑕疵担保責任)
 売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。
 同法第601条(賃貸借)
 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
 同法第606条(賃貸物の修繕等)
 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
 (略)
 同法第612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
 (略)

参照判例

 最高裁平成3年4月2日 判タ758号126頁(要旨)
 建物とその敷地の賃借権とが売買の目的とされた場合において、右敷地についてその賃貸人において修繕義務を負担すべき欠陥が右売買契約当時に存したことがその後に判明したとしても、右売買の目的物に隠れた瑕疵があるということはできない。けだし、右の場合において、建物と共に売買の目的とされたものは、建物の敷地そのものではなく、その賃借権であるところ、敷地の面積の不足、敷地に関する法的規制又は賃貸借契約における使用方法の制限等の客観的事由によって賃借権が制約を受けて売買の目的を達することができないときは、建物と共に売買の目的とされた賃借権に瑕疵があると解する余地があるとしても、賃貸人の修繕義務の履行により補完されるべき敷地の欠陥については、賃貸人に対してその修繕を請求すべきものであって、右敷地の欠陥をもって賃貸人に対する債権としての賃借権の欠陥ということはできないから、買主が、売買によって取得した賃借人たる地位に基づいて、賃貸人に対して、右修繕義務の履行を請求し、あるいは賃貸借の目的物に隠れたる瑕疵があるとして瑕疵担保責任を追及することは格別、売買の目的物に瑕疵があるということはできないのである。なお、右の理は、債権の売買において、債権の履行を最終的に担保する債務者の資力の欠如が債権の瑕疵に当たらず、売主が当然に債務の履行について瑕疵担保責任を負担するものではないこと(民法第569条)との対比からしても、明らかである。

監修者のコメント

 本ケースの売主の瑕疵担保責任に関しては、回答にある平成3年の最高裁判例によって、土地の瑕疵は売買目的物である借地権の瑕疵ではないとの解釈が、判例理論として確定したと言ってよい。
 もっとも、例外的なことであるが、売主がそのコンクリートの地中埋設物のことと買主の建替え計画を知っていた場合、説明義務違反による不法行為(民法第709条)の成否をめぐって、売主の「過失」の有無が争われる可能性がないではない。また媒介業者の調査・説明義務が問題となる余地もある。

より詳しく学ぶための関連リンク

“スコア”テキスト丸ごと公開! 「瑕疵担保責任(瑕疵担保責任の期間と内容)」

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